目次
- 概要と製品ラインナップ
- ICO-H(標準型密閉蓋)
- ICO-HV(通気口付き蓋)
- ICO-HD(圧力開放蓋)
- ICO-HD(後付けタイプ)
- ICO-HF(鋳鉄製蓋)
- ICO-AF(鋳鉄製リング付き蓋)
- 各種製品の比較表と適用場所
- まとめ
概要と製品ラインナップ
アロン化成のマス蓋「ICO-H」シリーズは、小口径桝(雨水マス・汚水マス)に使用されるワンタッチ開閉式の蓋製品群です。従来の蝶番式蓋と比べ、開閉がスムーズで安全に行える特徴があります。バネ仕掛けにより軽い力で蓋を開閉でき、手を離すと自動で閉まるため、開けっ放しになりにくく安全性が高められています。また蓋の下面にはゴムパッキンが付いており、ワンタッチで密閉できるため防臭・防水性能に優れています。このような基本性能に加え、用途や設置場所に応じて通気口付きタイプや圧力開放タイプ、鋳鉄製タイプなど複数のバリエーションが用意されています。以下の図は、ICO-Hシリーズの主な製品ラインナップを示しています。

本記事では代表的な製品(ICO-H
、ICO-HV
、ICO-HD
、ICO-HD後付け
、ICO-HF
、ICO-AF
)の特徴・用途・寸法・材質・価格帯・取扱い上の注意点を詳しく解説します。
ICO-H(標準型密閉蓋)
概要・特徴: ICO-H
は最も基本的なワンタッチ開閉密閉式の塩ビ製蓋です。バネ式開閉機構により軽く開けられ、手を離すと自動で閉まるため安全性が高いです。蓋の下面にゴムパッキンが装着されており、密閉性が高く臭気や雨水の侵入を防ぎます。また蝶番部分が蓋本体に内蔵されているため、開閉時に手を挟む心配も少なく安全です。通常の汚水桝や雨水桝の蓋として広く使われています。なお、雨水マスの場合、一部の蓋タイプでは内部のバケットやバスケットを取り出せない場合があるため、取付前に確認が必要です(※ICO-H
は「○」印が付いておりバスケット取り出し可です)。
材質・耐荷重: 蓋本体は硬質塩化ビニル製で、枠(マス立管との接続部分)も硬質塩ビ製です。シール部分にはポリエチレン製のパッキンが使用されています。耐荷重は車両が乗らない程度(歩行者程度)に設計されており、車乗禁止の表示が付いています。実際に車両が乗る場所には耐荷重の高い鋳鉄蓋(後述のICO-HF
やICO-AF
)を使用します。
寸法・仕様: ICO-H
は桝径(マス立管の呼び径)に合わせて50A~300Aまで多くのサイズが用意されています。例えば、150A桝用のICO-H
蓋の場合、蓋の外径は約165mm、枠部の内径(マス立管への嵌合径)は約153mmとなっています。高さ(蓋の厚み)は約58mmで、桝の深さに合わせてアジャスターを組み合わせて使用します。塩ビ製で軽量なため持ち運びや施工も容易ですが、その分強度は鋳鉄製に比べ低いため車両の乗らない場所に限定されます。
価格帯: 塩ビ製蓋の中では高めの価格設定ですが、ワンタッチ開閉機構の利便性から広く採用されています。例えば150Aサイズの標準品(ライトカラー)は税込で約3,000円前後、200Aサイズは約4,000円前後、300Aサイズは約10,000円前後となっています。サイズやカラー(ライト=ほぼ白色、グレー、ブラックなど)によって価格は異なります。
適用場所・注意点: 車両が乗らない屋外や室内の小口径桝に広く使用できます。庭先の雨水桝や住宅地の汚水桝、ベランダ下の排水桝などに適しています。注意点: 車道や駐車場など車両が乗る場所には使用不可です(耐荷重不足のため破損の恐れがあります)。また、雨水桝に使用する場合は前述の通りバスケット取り出しの可否を確認し、必要に応じて他のタイプを検討してください。蓋を開ける際は蝶番側を下にして水平に開き、開いた状態で不用意に離さないよう注意してください(バネで自動閉鎖するため挟まれないように)。
ICO-HV(通気口付き蓋)
概要・特徴: ICO-HV
は配管内の空気を逃がす通気口(ベント)を備えたワンタッチ開閉蓋です。二重トラップ配管(排水トラップが連続して2つ以上ある配管)で問題となる負圧の発生を防ぎ、封水の飛散や臭気の逆流を抑制できます。通気口は内部にフロート機構が付いており、桝内が冠水しても一定以上の水位になるとフロートが上昇して通気口を塞ぎ、雨水の侵入を防ぐ仕組みです。このように通気と防水の両立を図った蓋です。開閉機構や密閉性は標準型ICO-H
と同様で、ワンタッチ密閉式です。
材質・耐荷重: 蓋本体および枠は硬質塩化ビニル製、シール材はポリエチレン製で、標準型ICO-H
と同様の構造です。耐荷重も車乗禁止の一般蓋と同レベルで、車両の乗らない場所に使用します。
寸法・仕様: サイズは主に50A~200Aが用意されています。例えば50A用ICO-HV
では、蓋の外径約60mm、枠内径約55.7mm、蓋厚さ約23.5mmと小型です。150A用では外径約165mm、枠内径約153mm、厚さ約58mmとなります。標準型に比べ僅かに高さがありますが、アジャスターで調整可能です。通気口の径は例えば50Aサイズで約50mmφ、75A以上では約75mmφとなっており、サイズに応じて通気量を確保しています。
価格帯: 通気機能を備えるため標準型よりやや高価です。例えば50Aは約1,500円前後、150Aは約3,300円前後、200Aは約4,300円前後となっています(ライトカラーの場合)。グレーカラーは同サイズで若干安く設定されています(150Aで約3,100円など)。
適用場所・注意点: トイレや浴室など排水器具が連続して配置され二重トラップとなるような配管で、通気管を設けられない場合に最適です。例えば、一戸建て住宅のトイレ下桝や、マンションの排水立て管集合マスなどに取り付け、通気口から空気を吸入させて排水時の負圧を緩和します。また、屋外の雨水桝でも通気口付き蓋を用いることで、集中豪雨時の排水時に発生する負圧で封水が飛ばされるのを防ぐ効果が期待できます。注意点: 通気口は地表面から突出しているため、人が通行する場所や子供がいる庭先などでは躓きやすいので設置には注意が必要です。さらに、通気口部分は通常開放されているためゴミや小動物の侵入を防ぐカバー等の工夫も検討してください。なお、冠水時にフロートで閉鎖される仕組みですが、長時間の冠水や大量の雨水流入時には十分機能しない場合があるため、冠水対策としては別途の排水対策と併用することが望ましいです。
ICO-HD(圧力開放蓋)
概要・特徴: ICO-HD
は圧力開放機構を備えたワンタッチ開閉蓋です。集中豪雨時などに下水管本管側から逆流する圧力(正圧)を蓋上部から外気へ逃がし、便器や排水口から汚水が吹き出すのを防止します。蓋の中央には内部圧力で自動的に開く弁(リリーフバルブ)が組み込まれており、管内圧力が上昇すると弁が開いて圧力を逃します。その後圧力が下がると弁が自動で閉じ、通常時は密閉状態を保ちます。これにより封水の飛散や臭気の漏れも防げます。また蓋全体はワンタッチ開閉式で、清掃時などには通常の蓋と同様に開けられます。
材質・耐荷重: 蓋本体および枠は硬質塩化ビニル製、シール材はポリエチレン製です。圧力開放弁部分も樹脂製で、適度なバネ圧で閉じています。耐荷重は標準型と同様に車乗禁止です。弁が突出しているため車両が乗ると破損の恐れがあり、車道や駐車場などでは使用できません。
寸法・仕様: 主なサイズは150Aと200Aです(※50A~100Aは後述の後付けタイプが中心)。150A用ICO-HD
の場合、蓋外径約165mm、枠内径約153mm、厚さ約58mmです。中央の圧力開放弁部は直径約144mm程度で、平常時は蓋表面から約10mm程度盛り上がったドーム形状となっています。このドーム形状により、蓋の上に10mm程度水が溜まっても弁内部に水が入りにくく設計されています。200A用では外径約216mm、枠内径約200.7mm、厚さ約77.5mm、弁部直径約187mmとなっています。いずれもアジャスターを組み合わせて高さ調整可能です。
価格帯: 圧力開放機構を内蔵するため標準型より高価です。150Aは約5,100円前後、200Aは約6,400円前後となっています(ライトカラーの場合)。グレーカラーの150Aは約4,900円とやや安く設定されています。
適用場所・注意点: 集中豪雨時の下水逆流対策が必要な場所に最適です。例えば、低地の戸建住宅やマンションの一階部分で、下水道本管からの逆流でトイレや浴室排水口から汚水が噴出する事故が起きやすい場合に、そのマスにICO-HD
を設置します。また、雨水桝でも豪雨時に管内圧力が上がり雨水が溢れ出す恐れがある場合に有効です。注意点: 圧力開放弁は蓋の上面に突出しているため、人が躓かないよう設置場所を選ぶ必要があります。車両が乗る場所や通路には設置できません。また、弁が作動して圧力を逃がす際、汚水や臭気が一緒に噴出する可能性があるため、蓋の周囲には水が拡散しにくい工夫(例えば弁上部に短管を立てる等)を検討してください。定期的に弁部の可動部分を点検し、ゴミが詰まったり錆び付いたりしていないか清掃することも重要です(樹脂製ですが汚れにより作動不良を起こす恐れがあります)。さらに、本製品は圧力開放専用であり通気(吸気)機能はありませんので、負圧対策が必要な場合はICO-HV
等の通気口付き蓋と使い分けてください。
ICO-HD(後付けタイプ)
概要・特徴: ICO-HD後付け
は、既存の小口径桝に後から取り付けられる圧力開放蓋です。集中豪雨時に管内圧力を開放し、便器等からの汚水の吹き出しを防止する点は通常のICO-HD
と同じですが、既設のマス枠(桝の上部枠)に後付けできるよう工夫されています。従来型の小口径桝(150A)であれば枠を交換せずに済み、蓋のみを取り替えるだけで圧力開放機能を追加できます。蓋の下面には既設枠に固定するための取付金具(ブラケット)が付属しており、ボルト締めで確実に固定できます。中央の圧力開放弁は平時は閉じており、管内圧力が上昇すると自動で開いて圧力を逃がします。
材質・耐荷重: 蓋本体は硬質塩化ビニル製、取付金具は金属製です。耐荷重は後付けタイプでも車乗禁止となっており、車両が乗らない場所に使用します。既設枠との固定がボルトで行われるため、通常の蓋より安定して取り付けられますが、それでも車両荷重には耐えられない点に注意してください。
寸法・仕様: 後付けタイプICO-HD
は主に150Aのサイズのみになります。例えば150A用の後付け蓋の場合、蓋の外径は約165mm、既設枠への固定金具部分の径は約140mm前後となっています(一般的な小口径桝枠の内径133~139mmに対応)。圧力開放弁部は蓋表面から約10mm程度のドーム形状で、通常時は蓋上面とほぼ面一か僅かに突出した状態です。弁部の直径は約50mm程度と小型で、蓋の中央に配置されています。
価格帯: 後付けタイプは新設用ICO-HD
よりやや安価です。150A用は約3,500~4,000円前後(税込、カラーやセット内容により変動)。既設枠に合わせた取付金具が付属するため、単体ではなくキット形式で販売されることが多いです。
適用場所・注意点: 既存設備への後付け対策が必要な場所に適しています。例えば、住宅の汚水桝や雨水桝に従来型の蓋が付いている場合でも、それを取り外してICO-HD後付け
を取り付けるだけで、集中豪雨時の逆流防止機能を追加できます。特に老朽化した小口径桝で枠を交換したくない場合や、予算が限られている場合に有効です。注意点: 既設桝の枠サイズに合わせたものを選定する必要があります。桝枠の内径が規格外(後付け蓋の固定範囲外)の場合は取り付けできないため、事前に寸法確認が重要です。また、取付金具のボルトを確実に締め付けないと蓋が浮いたり外れたりする恐れがあるため、施工時は十分注意してください。設置後は定期的にボルトの緩みや腐食の有無を点検し、必要に応じて締め直しや防錆処理を行ってください。圧力開放弁部分の可動も定期的に確認し、ゴミ詰まりや作動不良がないか清掃してください。車両が乗る場所への設置は避け、人がぶつかりにくい位置に取り付けることを推奨します。また150の蓋であれば他メーカーの枠でも合うのは大きな利点と言えます
ICO-HF(鋳鉄製蓋)
概要・特徴: ICO-HF
は蓋部分のみ鋳鉄製とした耐荷重蓋です。上から車両が乗るような場所でも使用できるよう、蓋本体をダクタイル鋳鉄(FCD450)製としつつ、桝との接続部分(枠)は硬質塩ビ製のまま採用しています。これにより鋳鉄蓋の強度と塩ビ枠の利便性(軽量で施工しやすい)を両立しています。開閉機構はワンタッチ式で、蝶番部分は塩ビ製枠側に組み込まれています。蓋表面はカチオン電着塗装が施され防錆性能に優れています。密閉性も確保されており、防臭・防水性能は標準型ICO-H
と同等です。
材質・耐荷重: 蓋はダクタイル鋳鉄(FCD450)製、枠は硬質塩化ビニル製、シール材はポリエチレン製です。150Aサイズの蓋は鋳鉄品のため重量がありますが、その分耐荷重性能が高く、車道や駐車場でも使用可能です。実際、アロン化成のカタログによればICO-HF
は「車乗可」の表示が付いており、車両が乗る場所にも適用できるとされています。
寸法・仕様: 主なサイズは75A~200Aです。例えば150A用ICO-HF
の場合、蓋の外径は約165mm、枠内径(塩ビ枠)は約153mm、蓋厚さ(高さ)は約58mmと、標準型ICO-H
とほぼ同じ寸法です。蓋が鋳鉄製のため重量は数kg程度になりますが、開閉機構のバネで補助されているためそれほど重く感じない設計になっています。なお、サイズ75A・100Aの蓋はFCD450より強度のやや低い一般鋳鉄(FC200)製となっています(125A以上はFCD450)。塗装は黒色の電着塗装で、耐久性に優れます。
価格帯: 鋳鉄製ゆえ標準型より大幅に高価です。例えば150Aは約7,200円前後、200Aは約9,600円前後となっています(税込)。75A・100Aはそれより安く、75Aで約4,300円、100Aで約4,700円程度です。カラーは主に黒色(電着塗装)のみです。
適用場所・注意点: 車両が乗る場所や耐荷重が必要な場所に適しています。例えば、駐車場内の排水桝、路肩の小口径マンホール、屋外通路で車椅子や台車が頻繁に通行する場所などにICO-HF
を用いると安心です。鋳鉄蓋ゆえに重量があるため盗難の恐れも少なく、公園や道路脇の小桝にも採用されています。注意点: 蓋が重いため開閉時には両手でしっかり支え、挟まれないよう注意してください。バネで補助されていますが、不意に蓋が閉じる力も強いため子供には触れさせないようにします。また鋳鉄部分の塗装が剥がれた場合は錆びの原因となるため、定期的に塗装補修を行うことが望ましいです。枠部分は塩ビ製のため、過度な衝撃や車両の乗り上げ方によっては枠が破損する可能性があります。車道に面した場所ではより高耐荷重の鋳鉄製防護枠付き蓋(後述ICO-AF
)を検討してください。
ICO-AF(鋳鉄製リング付き蓋)
概要・特徴: ICO-AF
は蓋だけでなく桝の上部枠(リング)も鋳鉄製とした高耐荷重蓋です。車道や歩道の本設桝(公共桝)に使用される鋳鉄製防護ふたと同等の構造で、蓋と枠の両方をダクタイル鋳鉄(FCD450)製とすることで非常に高い耐荷重性能を備えています。枠(リング)はコンクリート基礎に埋め込んで固定され、蓋はその枠にワンタッチ開閉式で取り付けられます。蓋にはハンドルが付いており、開閉時にはハンドルを持って操作します。塗装は蓋・枠共にカチオン電着塗装(黒色)が施されています。このICO-AF
により、従来の蝶番式鋳鉄蓋と比べて開閉が容易で安全な鋳鉄蓋が実現できます。
材質・耐荷重: 蓋および枠はダクタイル鋳鉄(FCD450)製です。シール部分にはゴム製パッキンが内蔵され、防臭・防水性を確保しています。耐荷重性能は非常に高く、車道用のT-25級(25トン級)にも相当する強度を持つとされています。実際、車両が頻繁に通行する道路脇や駐車場などでも長期間使用可能です。
寸法・仕様: 主なサイズは75A~200Aです。75A・100Aの枠はFC200製となっていますが125A以上はFCD450製です。例えば150A用ICO-AF
の場合、鋳鉄枠の外形寸法は縦横約220mm角、枠の内径は約153mm(塩ビ立管内径接続)、蓋の厚さは約97.5mmとなっています。蓋の直径は約216mmで、枠にセットした状態では蓋上面が枠上面とほぼ面一になります。蓋は重く数kg~10kg程度ありますが、ワンタッチ開閉機構により片手でも開けられる設計です。角型枠のICO-AF・角
も用意されており、コンクリート桝に合わせた角型枠(例えば150A用で約250×250mm角)のものもあります。
価格帯: 鋳鉄製蓋の中でも高価なクラスです。例えば150A用(丸型)は約12,500円前後、200A用は約15,000円前後となっています(税込)。75Aや100Aはそれより安く、75Aで約7,200円、100Aで約8,000円程度です。角型の150Aは約12,500円、200Aは約15,000円前後です。価格が高いものの、公共設備並みの耐久性を備えるため長期的に見ればコストパフォーマンスは高いです。
適用場所・注意点: 車両交通がある場所や高い耐荷重が要求される場所に適しています。例えば、車道沿いの小口径マンホール、駐車場の排水桝、工場内の車両通路脇の桝などにICO-AF
を用います。鋳鉄製防護枠付きのため、コンクリート基礎に固定して使用します。注意点: 蓋および枠が非常に重いため、施工時には重機や複数人での作業が必要な場合があります。開閉時も両手でしっかり支え、挟まれないよう注意してください。ワンタッチ開閉式ではありますが、不意に蓋が閉じる力は強いため、開けた状態では必ず固定するか周囲に注意喚起を行ってください。また、鋳鉄部分の塗装が剥がれた場合は錆びの原因となるため定期点検・補修を行います。枠はコンクリートに埋め込むため一度設置すると動かせません。設置箇所の計画は慎重に行い、桝の位置・高さを正確に施工してください。なお、ICO-AF
は基本的に屋外の公共的な場所で使用されますが、住宅地でも高級住宅の車庫前などで採用されることがあります。その場合も公共桝同様にコンクリート基礎を築く必要があり、施工費用も含め検討してください。
各種製品の比較表と適用場所
最後に、本稿で解説した各蓋製品の主な仕様を表にまとめます。以下のグラフは、主要な製品の特徴を比較したものです。
製品名 | 材質・構造 | 耐荷重 | 主なサイズ | 特徴・用途 | 参考価格(税込) |
---|---|---|---|---|---|
ICO-H(標準型) | 硬質塩ビ製蓋+枠、ゴムシール | 車乗禁止 | 50A~300A | ワンタッチ開閉、密閉式。一般住宅の汚水・雨水桝用。 | 150A:約3,000円、200A:約4,000円 |
ICO-HV(通気口付) | 硬質塩ビ製蓋+枠、フロート式通気弁 | 車乗禁止 | 50A~200A | 通気機能で負圧対策。二重トラップ配管の通気口代用。 | 150A:約3,300円、200A:約4,300円 |
ICO-HD(圧力開放) | 硬質塩ビ製蓋+枠、内蔵式圧力開放弁 | 車乗禁止 | 150A、200A | 管内圧力を自動開放し逆流防止。集中豪雨時の吹き出し防止用。 | 150A:約5,100円、200A:約6,400円 |
ICO-HD後付け | 硬質塩ビ製蓋+金属製取付金具 | 車乗禁止 | 150A | 既設桝へ後付け可能な圧力開放蓋。豪雨時の追加工事用。 | 150A:約3,500~4,000円 |
ICO-HF(鋳鉄製蓋) | 鋳鉄(FCD450)製蓋+硬質塩ビ枠 | 車乗可 | 75A~200A | 蓋のみ鋳鉄で高強度。駐車場・通路など耐荷重が必要な場所。 | 150A:約7,200円、200A:約9,600円 |
ICO-AF(鋳鉄リング付) | 鋳鉄(FCD450)製蓋+枠 | 車乗可(T-25相当) | 75A~200A | 蓋・枠共に鋳鉄で超高強度。車道脇や本設桝に使用。 | 150A:約12,500円、200A:約15,000円 |
まとめ
アロン化成のICO-H
シリーズ蓋製品は、それぞれ用途に応じた機能を備えています。標準型ICO-H
は基本性能に優れ住宅用桝に最適ですし、通気口付きICO-HV
は配管設計の工夫が必要なケースに、圧力開放ICO-HD
は豪雨時の安全対策に、鋳鉄製ICO-HF/ICO-AF
は高い耐荷重が要求される場所に、それぞれ役立ちます。設置場所の条件(車両の有無、冠水リスク、配管構造など)を踏まえて適切なタイプを選定することで、排水設備の安全性と利便性を向上させることができます。なお、いずれの製品も定期的な点検・清掃を怠らず、バネやシール部分の劣化にも注意してメンテナンスを行うことで、長期間にわたり安定した性能を発揮してくれるでしょう。

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