建築用銅管と被覆銅管の違いとは?用途・特長まとめ

商品紹介

1. はじめに

  • この記事の目的:給水・給湯などで使われる「建築用銅管」と、耐候・耐食性を突出させた「被覆銅管」の違いを、図解や用途別にわかりやすく比較します。

2. 銅管が配管材として優れる理由

  • 銅管の基本特性
    • 耐食性、軽量、加工性、抗菌作用、耐震・耐低温性能などが高く評価される素材
  • JIS規格準拠:建築用銅管・水道用銅管などは「JIS H3300」「C1220T」に基づき製造

3. 建築用銅管とは?

  • 定義と主な用途:給水・給湯、空調、医療用にも使用されるオールラウンダー配管材
  • サイズとタイプ:Mタイプ/Lタイプ/Kタイプなど肉厚や用途ごとにバリエーション
  • 規格例表(呼径、外径、肉厚、許容圧力)

建築用銅管の「Mタイプ」「Lタイプ」「Kタイプ」は、主に壁の厚さ(肉厚)によって区別され、それぞれ用途や特徴が異なります。

各タイプの違い

タイプ肉厚(例:15A)主な用途特徴・備考識別色
Kタイプ1.24mm高圧・地下配管最も厚い、耐圧・耐久性大
Lタイプ1.02mm給水・給湯・ガス配管中間の厚さ、汎用性高い
Mタイプ0.71mm給水・給湯・一般配管最も薄い、住宅内向き

(※肉厚は呼び径15Aの一例です)


Kタイプ

  • 3種類の中で最も肉厚が厚く、耐圧性・耐久性に優れています。
  • 主に地下の給水本管や高圧配管、防火配管、オイルライン、HVACなどに使われます。
  • 緑色のマーキングで識別されます。

Lタイプ

  • Kタイプよりやや薄く、Mタイプより厚い中間の肉厚です。
  • 屋内外の給水・給湯配管、ガス配管、住宅や商業施設の一般的な配管に広く使用されます。
  • 青色のマーキングで識別されます。

Mタイプ

  • 3種類の中で最も肉厚が薄い銅管です。
  • 主に住宅の給水・給湯配管や壁内配管など、低圧環境で多く使われます。
  • 軽量でコストが低く、施工性に優れていますが、耐圧性は他のタイプより低いです。
  • 赤色のマーキングで識別されます

建築銅管 まとめ

Kタイプ、Lタイプ、Mタイプは、主に「肉厚」と「用途」で区別されます。Kタイプは最も丈夫で高圧・地下用、Lタイプはバランス型で住宅・商業用、Mタイプはコスト重視の住宅用です。用途や設置場所、耐圧要件に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です 
コスト的なものなのか住宅分野ではほとんどMタイプ銅管が出荷されることが多い印象です


4. 被覆銅管とは?

  • 定義:銅管の外側にポリエチレン樹脂などの被覆を施した配管材
  • 用途:灯油配管、土中配管、海岸地域など、耐薬・耐候性が求められる環境に最適

5. 被覆銅管の製品例(プリゾール・チューブPなど)

  • 耐候・耐食性仕様:外被覆があり裸銅管より強い
  • 施工性面:裸管同様に加工できるメリットあり
  • 製品例:代表的な品番 プリゾールは製造中止となり、現在はチヨダのSP154やSP204があり
    生産しているメーカーは減ってきている印象があります

6. 比較表:建築用銅管 vs 被覆銅管

項目建築用銅管被覆銅管
耐食性・耐候性表面保護膜による耐食性ありポリエチレン被覆で更に優れる
用途給水・給湯・空調・医療用など土中埋設・灯油配管・海岸/寒冷地など
加工性柔軟で曲げ・切断しやすい被覆付でも加工可能(簡単施工)
規格・肉厚M・L・Kタイプなど/サイズ豊富被覆厚含む規格展開あり
コストシンプル構造で経済的被覆分コスト増 × 耐久性向上のトレードオフ

7. どちらを選ぶべき?用途別アドバイス

  • 屋内給水・標準環境 → 建築用銅管
  • 屋外継続使用・腐食性環境 → 被覆銅管
  • 高温・絶縁・保温が必要 → 被覆銅管推奨

8. 施工のコツと注意点

  • 被覆部の修復:切断後は被覆端を保護テープで封じること
  • 熱による収縮対策/保温性:施工後に適切な断熱処理を行い、防露/熱伝導低減

9. まとめ

  • 建築用銅管は、加工性・汎用性 で強み
  • 被覆銅管は、高耐久性と特殊環境での安心感が魅力
  • 用途に応じて使い分けることで、効率的で長寿命な配管施工が可能
  • 被覆銅管の代表的な品番プリゾールは2020年に製造中止となり需要は減っている状況
  • かつて給水・給湯の定番だった建築用銅管ですが、近年ではその使用量が徐々に減少傾向にあります。主な要因としては、以下のような代替え管材の台頭が挙げられます
    ・ステンレス製薄肉管:耐久性・美観・長寿命といったメリットから、特に公共施設や工場・集合住宅での採用が拡大。
    ・架橋ポリエチレン(架橋ポリ):柔軟性が高く、施工が容易で価格も安いため、戸建住宅や集合住宅・小規模施設で人気。
    これらの新しい管材は、施工性やコスト面、耐腐食性などの点で銅管よりも優位に立つことが多く、結果として銅管のシェアは年々縮小しています。とはいえ、銅管がまったく使われなくなったわけではありません。冷媒配管や医療ガス配管など、銅特有の加工性・熱伝導性・衛生性が求められる分野では、今なお一定の需要があります。今後は「適材適所」の考え方のもとで、建築用銅管も用途を限定しながら生き残っていく形になるでしょう。

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