水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管とは?VA・VB・VDの違いと用途を解説

配管材料基礎知識

水道配管において、強度・耐久性・衛生性が求められる中、広く使われているのが「水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管」です。特にVA、VB、VDといった種類は、建物の給水配管に欠かせない存在となっています。

この記事では、それぞれの種類の特徴・違い・使い分けのポイントをわかりやすく解説していきます。


ライニング鋼管とは?

ライニング鋼管とは、**鋼管の内面に塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂をライニング(内面被覆)**した配管材です。

ポリエチレン粉体ライニング鋼管(PA、PB、PD)と硬質塩化ビニルライニング鋼管(VA,VB,VD)がありましたが用途がほぼ同じことから近年ではポリエチレンライニング鋼管は日本製鉄では廃盤になっておりここでは硬質塩化ビニルライニング鋼管について説明していきたいと思います

 ・硬質塩ビライニング鋼管の規格は日本水道協会規格 JWWA K 116 となっております

  • 外側:鋼管(機械的強度を確保)
  • 内側:樹脂ライニング(腐食防止・衛生性確保)

この構造により、耐圧性と衛生性を両立し、水道配管として多くの現場で採用されています。


VA管

  • 正式名称:水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VA)
  • 内面材質:硬質塩化ビニル
  • 外面:一次防錆塗料
  • 原管:JIS G 3452 の黒管
  • 継手:管端防食管継手 代表的な品番PQWK継手(桑名金属)

構造と特徴

  • 内面の硬質塩化ビニルライニングにより、赤水(鉄錆による水の着色)や白水(白濁水)の発生を防ぎ、衛生的な給水を実現します
  • 鋼管の強度と、塩化ビニルライニングの耐食性・耐薬品性を兼ね備えています
  • 機械的強度が高く、耐久性にも優れています
  • 濃い茶色 触ると手に塗装が付く

仕様と用途

 ・使用可能温度:−5℃〜40℃

 ・耐圧:1.0MPa

 ・主な用途:給水管、雑用水管

 ・使用場所:主に屋内配管

 ・規格:JWWA K 116(日本水道協会規格品)

 ・VA管はコスト面で有利なため、上水と雑用水の二系統がある場合は雑排水管に使われることが多い  


VB管

  • 正式名称:水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VB)
  • 内面材質:硬質ポリ塩化ビニル
  • 外面:亜鉛めっき
  • 原管:JIS G 3442 の鋼管
  • 継手:管端防食管継手 代表的な品番 PQWK継手(桑名金属)

構造と特徴

  • 原管として「SGP白管(亜鉛メッキ鋼管)」を使用し、その内面に硬質塩化ビニル(PVC)をコーティングしています
  • 外面は亜鉛めっき仕上げで、耐食性が高いのが特徴です
  • 内面の塩化ビニルにより、赤水(鉄錆による水の着色)や白濁水の発生を防止し、衛生的な水質を維持できます
  • 外面の亜鉛メッキにより、屋内だけでなく屋外露出配管にも使用可能です
  • 耐久性と機械的強度に優れています
  • 亜鉛めっき 白っぽい 手に塗装はつかない

仕様と用途

  • 使用温度範囲:−5℃〜40℃
  • 耐圧:1.0MPa
  • 主な用途:給水管、雑用水管
  • 使用場所:屋内、屋外露出
  • 規格:JWWA K 116(日本水道協会規格品)
  • 外観:外面は亜鉛メッキ色、触っても塗装は付かない 内面は灰色の塩化ビニル
  • VB管は耐食性が高く、上水(飲料水)配管に多く使われます
  • 上水と雑用水の二系統がある場合、誤接続防止のため、上水にはVB管、雑用水にはVA管を使うのが一般的です
  • VA管より材料単価は高めですが、屋外露出配管や耐食性が求められる場所で選ばれます

VD管

  • 正式名称:水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VD)
  • 内面材質:硬質ポリ塩化ビニル
  • 外面:硬質ポリ塩化ビニル被覆
  • 原管:JIS G 3452 の黒管
  • 継手:管端防食管継手 代表的な品番 PCPQK継手 (桑名金属)

構造と特徴

  • 炭素鋼鋼管(SGP黒管)の内面・外面の両方に硬質塩化ビニル(PVC)をコーティングしています
  • 内外面ともに塩ビ被覆されているため、赤水や白濁水の発生を防ぎ、衛生的で耐久性に優れています
  • 外面は青色、触っても塗装は付かない 

仕様と用途

  • 使用温度範囲:−5℃〜40℃
  • 最高使用圧力:1.0MPa
  • 規格:JWWA K 116(日本水道協会規格品)
  • 外面被覆厚さや内面被覆厚さは口径ごとに規定されており、外面被覆は1.2〜1.5mm程度が一般的です
  • 地中埋設配管や屋外露出配管など、特に腐食環境が厳しい場所で多用されます
  • 屋内配管にも使えますが、コスト面から主に屋外・地中で選ばれます

VA・VB・VDの違いを比較表でチェック!

種類内面材質継手主な用途特徴コスト感
VA硬質塩化ビニルPQWK屋内配管赤茶色安価
VB硬質塩化ビニルPQWK屋内配管
屋外露出配管
亜鉛メッキやや高め
VD硬質塩化ビニルPCPQK地中埋設配管
屋外露出配管
青色高価

注意点

  • 40℃以下の給水配管に使用
  • 使用圧力 1.0MPa以下で使用
  • VLPは溶接接続、転造ネジ加工、グルービング加工ができません 
  • VLPは曲げ加工もできません
  • 外面被覆鋼管は外面被覆鋼管用のパイプレンチをご使用ください
  • 規格は全て定尺4M 15A〜100Aが口径サイズ

まとめ

ライニング鋼管(VA・VB・VD)は、それぞれ異なる特性を持ち、目的や場所に応じて使い分けが求められます。

給水備に欠かせない存在として、これらの管種を理解しておくことは、配管材選定の基本です。施工者はもちろん、資材管理や設備保守に携わる方にもぜひ知っておいてほしい知識です。

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