ねじ切り機の使い方

機器類
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水道やガス工事、空調設備などの現場で欠かせないのが「配管」作業です。その中でも、管と管を確実に接続するための「ねじ切り」は、非常に高い精度が求められる重要な工程です。

本記事では、ねじ切り機(パイプマシン)の基本的な使い方から、安全に作業を進めるための注意点、そして長持ちさせるためのメンテナンスの秘訣まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。

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1. ねじ切り機とは? その役割と重要性

ねじ切り機は、主に水道やガスの配管に使用される鋼管(ガス管や配管用炭素鋼鋼管など)に、接続用のねじを加工するための機械です。

この機械を使用する主な目的は、「チェーザ」と呼ばれる刃を管に食い込ませ、精密なねじ山を作ることにあります。正確なねじ切りが行われないと、接続部から水やガスが漏れる原因となり、重大な事故につながりかねません。そのため、機械の正しい操作方法をマスターすることは、プロの職人として必須のスキルと言えます。

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2. 作業前の準備:設置と機材の選定

ねじ切り作業を始める前に、まずは機械のセッティングと適切な部品の選定が必要です。

設置場所の注意点

ねじ切り機は、必ず平らな場所に設置してください1。もし傾斜がある場所で作業せざるを得ない場合は、機械の後部(管を差し込む側)が高くなるように設置するのが鉄則です。

理由: 後部が低くなっていると、加工中に使用する「ねじ切りオイル」が後方から漏れ出してしまう可能性があるためです。

機種とダイヘッド・チェーザの選定

加工する管のサイズや種類(材質)に合わせて、以下のものを適切に選ぶ必要があります。

• ねじ切り機の本体(機種)

• ダイヘッド(チェーザを保持する部分)

• チェーザ(実際にねじを切る刃)

管のサイズに対して不適切なダイヘッドを使用すると、正確なねじが切れないだけでなく、機械の故障や刃の破損を招きます。

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3. ダイヘッドとチェーザのセット方法

次に、選定したダイヘッドとチェーザを機械に取り付けます。

ダイヘッドの取り付け

1. 対応するダイヘッドの取り付け軸を、機械の「往復台」にある穴に合わせます。

2. ダイヘッドを上下に動かしながら、しっかりと差し込みます。

チェーザの交換・セット手順

チェーザを交換する際は、以下の手順で行います。

1. 切り替えレバーを引いて、チェーザが完全に開いた状態にします。

2. 位置決めノッチ位置決めピンから外し、案内セットノブを引きます。これにより、3番と4番のチェーザが外せるようになります。

3. ダイヘッド本体を起こすことで、残りの1番と2番のチェーザも外れます。

重要:チェーザの番号合わせ 新しいチェーザをセットする際は、チェーザに刻印されている番号(1〜4)と、ダイヘッド側の番号を必ず一致させてください1。番号が異なると正しいねじ山が作れません。

• 差し込む際は、「カチッ」と音がするまで確実に押し込みます1。

• 全てのチェーザをセットしたら、案内セットノブを引き上げます。この時、チェーザが中心に向かってスムーズに動くことを確認してください1。

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4. ねじ切りオイルの重要性と管理

ねじ切り作業において、「ねじ切りオイル」は生命線です。オイルには以下の重要な役割があります。

• 加工精度の維持(滑らかなねじ山を作る)

• チェーザ(刃)の長寿命化(摩擦熱の抑制と摩耗防止)

オイルの補給

機械の「切り粉受け」と「タンク上蓋」を外すとオイルタンクが現れます。中のストレーナー(ろ過器)が十分に隠れるまで、たっぷりとオイルを注いでください。

オイル量の確認と調整

スイッチをオンにしてモーターを回転させると、ダイヘッドからオイルが供給されます。オイルが途切れなく出ている状態が適正です。

• オイルの量は、機械背面にあるノブで調整することが可能です。

• 加工中にオイルが不足すると、刃が焼き付いたり、ねじ山がボロボロになったりするため、常に注視が必要です。

上水道・一般配管用

一般配管用

ステンレス用

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5. 実践:切断・面取り・ねじ切りのステップ

ここからは、実際の加工作業の流れを解説します。

① 管のセット

1. 後部スクロールを回して開き、管を差し込みます。

2. 右手で管を支えながら、締め付けホイールを軽く締めてチップを沿わせます。

3. 最後にホイールを強く締め、管を完全に固定します。

② パイプの切断

管を希望の長さに調整するために、内蔵のパイプカッターを使用します。

1. パイプカッターを下ろし、切断位置に刃を合わせます。

2. 刃が軽く当たるまでハンドルを回し、スイッチをオンにしてモーターを回転させます。

3. ハンドルをゆっくりと回し続けることで、刃が管に食い込み、切断が完了します。

③ リーマによる面取り(バリ取り)

切断後の管の内側には鋭い「バリ」が出ています。これを除去するためにリーマを使用します。

1. リーマをダイヘッドにセットし、握りを押し出して突き出させます。

2. 握りを反時計方向に回してホルダーに固定します。

3. モーターを回転させ、送りハンドルを回してリーマを切断面に押し付けます。

4. 1回転以上させたら、リーマを管から離します。

    ◦ 注意:強い力で押し付けすぎないようにしてください

④ ねじ切り加工

いよいよメインのねじ切りです。

1. サイズ設定: 位置決めノッチを希望のサイズのピンにはめ込み、案内セットノブを押し込んでセット位置にします。

2. 開始位置の確認: 往復台の赤線に注意してください。必ず赤線より手前からねじ切りが始まるようにセットします

3. 食いつかせ: モーターを回転させ、オイルが出ていることを確認したら、送りハンドルを回してチェーザを管に食いつかせます。

4. 自動加工: ねじが3〜4山ほど切れれば、あとは機械が自動的に送りを行い、ねじを切っていきます。

5. 自動切り上げ: 規定の長さまでねじが切れると、切り上げレバーによってチェーザが自動的に開き、加工が終了します。

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6. 安全な作業のための絶対ルール

ねじ切り機は非常に強力なトルクで回転するため、一歩間違えると重大な怪我につながります。以下のルールを必ず守ってください。

軍手・手袋の着用禁止: 回転作業中は絶対に手袋を着用しないでください。回転部や刃に巻き込まれると、指や手を切断するなどの大事故になりかねません。

回転部への接近禁止: 動作中は回転している管やダイヘッドに手や顔を近づけないでください。

完全停止の確認: モーターが完全に停止するまで、管の抜き取りや次の作業に移らないでください。

異常時の即時停止: 異音や異臭、異常な振動を感じた場合は、ただちに使用を中止してください。

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7. メンテナンスとトラブルシューティング

ここでは、ソースには直接記載されていませんが、現場で役立つ補足知識(出典外情報)を紹介します。必要に応じて、お手持ちの取扱説明書などで詳細を確認してください。

切り粉の清掃: 作業後はオイルタンク周辺に溜まった切り粉をこまめに除去してください。ストレーナーが詰まるとオイルの循環が悪くなります。

チェーザの摩耗チェック: ねじ山の表面がザラついたり、むしれたりするようになったらチェーザの寿命です。早めに交換しましょう。

オイルの酸化: 古くなったオイルは性能が落ちるため、定期的に全入れ替えを行うのが理想的です。

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代表的な工具 

1. F25AⅢ

「小型・軽量」を極めたポータブルモデル

特徴: シリーズの中でも特にコンパクトで、現場への持ち運びやすさに特化しています。

加工能力: 主に25A(1インチ)までの小径管の加工に適しています。

主な用途: 狭い現場や、小口径の配管作業が中心となる現場で威力を発揮します。

2. S40AⅢ

「操作性と精度」を両立した中型スタンダードモデル

特徴: 1.5インチ(40A)までの加工に対応し、パワーとサイズのバランスが非常に良いモデルです。

加工能力: 1/4インチから1 1/2インチ(40A)までをカバーします。

主な用途: 水道・ガス工事の現場で最も汎用的に使われるサイズ帯であり、プロの定番機の一つです。

3. F50AⅢ

「耐久性と汎用性」を兼ね備えたベストセラーモデル

特徴: 2インチ(50A)までの加工が可能で、現場で最も多用されるサイズを網羅しています。

加工能力: 1/4インチから2インチ(50A)までの幅広い管に対応します。

主な用途: ビル建築や大規模な設備工事など、幅広いシーンでメインマシンとして活躍します。

4. N100A

「圧倒的なパワー」を誇る大口径対応モデル

特徴: 最大4インチ(100A)までの太い管を加工できる、非常にパワフルな大型機です。

加工能力: 1/2インチから4インチ(100A)まで対応しており、他の3機種では対応できない大口径の加工が可能です。

主な用途: プラント工事や大型施設の主配管など、太い鋼管を扱う現場に不可欠な一台です。

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全機種に共通する基本的な使い方と特徴

これらの機種は、サイズやパワーこそ異なりますが、基本的な構造や使用方法は共通しています。

ダイヘッドとチェーザの選定: 加工する管のサイズや種類(交換、ガス管など)に合わせて、適切なダイヘッドとチェーザ(刃)を選定し、番号を合わせてセットする必要があります。

ねじ切りオイルの管理: すべての機種において、加工精度を保ち、刃(チェーザ)の寿命を延ばすために**「ねじ切りオイル」**が不可欠です1。オイルタンクにはストレーナーが隠れるまでたっぷりとオイルを入れ、モーター回転中にオイルが途切れなく供給されていることを確認して使用します。

一連の加工工程: どの機種も、以下の3つのステップで作業が進みます。

    1. 切断: 内蔵のパイプカッターで管を適切な長さに切ります。

    2. 面取り: リーマを使用して、切断面の内側のバリを除去します。

    3. ねじ切り: ダイヘッドをセットし、管にチェーザを食いつかせます。規定の長さに達すると**「切り上げレバー」**により自動的にチェーザが開き、加工が完了します。

安全上の重要事項: どのサイズの機械を使用する場合も、回転部に巻き込まれる危険があるため、軍手や手袋の着用は厳禁です。また、異常(異音や異臭)を感じた場合は直ちに作業を中止し、機械が完全に停止するまで次の作業に移らないよう注意が必要です。

まとめ

ねじ切り機の操作は、手順を一つひとつ丁寧に行うことで、誰でも精度の高い加工が可能です。

1. 正しい設置と機材選定

2. 正確な番号でのチェーザセット

3. 十分なねじ切りオイルの供給

4. 切断・面取りの丁寧な下準備

5. 安全ルールの徹底(手袋厳禁!)

これらを意識して、安全で確実な配管作業を心がけましょう。もし作業中に少しでも不安を感じたら、すぐに手を止めて基本に立ち返ることが、事故を防ぐ最大のポイントです。

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