インフラの老朽化が進む中、水道管・ガス管・建築配管などで不可欠な「鉄管」。その製造を支える二大メーカーが 日本製鉄 と JFEスチール です。本記事では、両社の歴史・製品・強みを解説しながら、プロが現場で信頼を置く理由を掘り下げていきます。
1. なぜ今、鉄管メーカーに注目が集まっているのか?
- 老朽インフラ更新の需要増
水道・ガス・排水などの公共インフラが更新期に突入。耐久性の高い鋼管の需要が再評価されています。 - 再生可能エネルギー・都市再開発
太陽光・風力設備、再開発エリアでの配管・構造部材で鋼管が使用され、ニーズは安定。 - ESG投資や脱炭素への対応
鉄鋼業界でもCO₂削減・電炉化・水素還元製鉄などが注目され、投資家からも目が離せない分野に。
2. 日本製鉄とJFEスチールの歴史とルーツ
◉ 日本製鉄(NIPPON STEEL)

- 1901年創業の官営八幡製鐵所にルーツ
- 1970年 八幡製鐵と富士製鐵が合併し新日本製鐵に
- 1949年 新扶桑金属工業(株)設立
- 1952年 住友金属工業(株)に商号を変更
- プロサッカーチーム 鹿島アントラーズの前身は住友金属工業蹴球団
- 2012年、新日本製鐵と住友金属が合併し誕生
- 世界有数の総合鉄鋼メーカー
- 水道・ガス・建築・プラント・造船・自動車など多分野に製品を供給
◉ JFEスチール

- 2003年、川崎製鉄と**日本鋼管(NKK)**が合併し誕生
- 建設・プラント・水インフラ・エネルギー設備向け製品に強み
- ステンレス鋼管、薄肉パイプなど特殊鋼管の製造技術も高水準
3. 製品と現場での信頼性
比較項目 | 日本製鉄 | JFEスチール |
---|---|---|
主力製品 | 白管・黒管・STPG鋼管・ラインパイプなど | 白管・電縫鋼管・スパイラル管・耐食鋼管など |
得意分野 | 都市ガス・建築・造船 | 水道・プラント・土木工事 |
特徴 | 国内最大級の生産規模 | 継手や薄肉ステンレスパイプも製造 |
現場での印象 | 納期・品質ともに安定 | 地方自治体の水道案件でも採用多数 |
4. 投資家も注目!企業スケールと未来展望
指標 | 日本製鉄 | JFEホールディングス |
---|---|---|
時価総額(2024年) | 約3兆円台 | 約1.2兆円台 |
売上高 | 約7.2兆円 | 約4兆円 |
主な市場 | アジア・米国・欧州 | 東南アジア・中東など |
脱炭素戦略 | 水素還元製鉄を本格研究 | 高炉から電炉への転換進行中 |
▶ どちらもESG(環境・社会・ガバナンス)視点で改革中
政府方針や世界的な脱炭素トレンドに対応し、長期的にも評価されやすい企業といえます。
5. 配管現場での選び方のポイント
- 地域の流通事情
特定エリアでは「JFEが強い」「日本製鉄を指定してくる」などの地域差があります。
自分が勤めた静岡では静岡ガスがJFE指定という例もありました - コストと納期
プロジェクトによっては価格差・納期調整力も重要な判断材料。 - 信頼の実績
大手ゼネコンや自治体案件での採用実績が、製品の信頼性を裏付けています。 - 商品の見た目
日本製鉄の方がテカリがありネジに油がある
まとめ
鉄管メーカーとして長い歴史と技術力を持つ日本製鉄とJFEスチール。用途に応じて使い分けられることが多く、配管工事・インフラ事業に携わる方にとっては知っておいて損のない情報です。
今後もESG対応・海外展開などを背景に、業界の中心であり続けるでしょう
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