ステンレス管の基礎知識!TP-A・TP-Dの違いとSUS304・SUS316の特徴をわかりやすく解説

配管材料基礎知識

ステンレス管は、耐食性や強度の高さから多くの配管現場で使用されています。しかし、TP-ATP-Dといった用語の違いを正しく理解できていないと、適切な選定ができずトラブルの原因にもなりかねません。

この記事では、ステンレス配管における代表的な管種と材質の違いをわかりやすく解説します。


ステンレス管の種類:TP-AとTP-Dの違いとは?

ステンレス鋼管は、用途や製造方法に応じてさまざまな種類があります。中でも現場でよく使われるのが次の2つです。

項目配管用ステンレス鋼管(TP-A)ステンレス薄肉管(TP-D)
製造方法自動アーク溶接でパイプ状に成形シームレス(継ぎ目なし)成形
特徴肉厚の種類が豊富薄肉・軽量・施工性が高い
主な用途給水・給湯・冷温水他 各種配管に広く使用される改修工事・狭所・軽量化が求められる現場
見た目溶接線が残る継ぎ目なし・滑らか

✅ 配管用ステンレス鋼管(TP-A)

  • JIS G3459に準拠した一般的な配管用ステンレス管。
  • 製造方法:ステンレス鋼板を丸めて「自動アーク溶接(A)」で管状に成形したものです
  • 記号の意味:「TP」はTube Pipe、「A」は自動アーク溶接(Automatic arc welding)を示します
  • 標準的な肉厚があり、耐食性・耐熱性が高く、幅広い現場で使われる
  • 用途:給水・給湯・冷温水・消火・薬液・蒸気などの各種配管に広く使用されます
  • TPAはスケ10、20、40がありパイプの厚みも何種類かある
  • 施工:ねじ切り加工をしてねじ込み継手か溶接継手を使用
  • エキストラでの価格計算のため値動きが激しい印象
  • パイプに傷が付きやすい

✅ ステンレス薄肉管(TP-D)

  • JIS G3448に準拠し、肉厚が薄く建築設備配管向けのステンレスパイプ
  • 薄肉・軽量:従来の配管ステンレスパイプ(TPAなど)よりも肉厚が約1/3と薄く、軽量で施工性・コストに優れています
  • 優れた耐食性・耐衝撃性・衛生性があり、住宅、マンション、ビルなどに広く使用させる 他にも厨房・食品・医療分野で使用されている
  • 薄肉・軽量であり現場施工性に優れている
  • 推奨使用圧力:2MPa以下(継手システムの耐圧性能に準じる)
  • 施工:拡管機を使用して施工するナイスジョイントやKKベスト、工具を必要としないそろばん継手や一押し継手などがある
  • モルコ管やSU管と呼ばれることがある

ステンレス材質の違い:SUS304とSUS316とは?

配管に使用されるステンレス材質にも違いがあります。代表的なのがSUS304SUS316です。

項目SUS304SUS316
主成分クロム18%、ニッケル8%クロム16%、ニッケル10%、モリブデン2~3%
耐食性高い(が塩素に弱い)さらに高い(塩素・酸に強い)
価格安価やや高価
用途給水・排水・建築設備化学薬品・海水・医療施設など

✅ SUS304

  • ステンレスの中でも最もポピュラーな材質。
  • コストパフォーマンスに優れ、建築や給排水分野で幅広く使われる
  • 一般的な環境での使用に適しており、家庭用品、建築物の内外装、工場設備など幅広く使用されます

✅ SUS316

  • モリブデンを含み、塩素や酸に強く耐食性がさらに向上
  • 海沿いの建物、医療設備、化学プラントなど、腐食のリスクが高い現場で採用。
  • SUS304より高価ですが、過酷な環境では必要な選択となります

管種と材質の選び方まとめ

用途推奨管種推奨材質
一般建物の給水・排水配管TP-ASUS304
改修・軽量化・狭所施工TP-DSUS304または316
高耐食性が求められる現場TP-AまたはTP-DSUS316

まとめ

TP-A(配管用ステンレス鋼管)とTP-D(ステンレス薄肉管)は用途や特性が異なるため、現場の条件に合った選定が重要です。また、SUS304・316といった材質の違いも理解しておくことで、長期的に安定した配管システムを構築できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました