- はじめに
- 1. ヘルメチックとはどんなメーカーか
- 2. HT-Seal F-119|多用途配管用防食シール剤
- 3. HT-Lock 333|金属配管用嫌気性シール剤(弾性・取り外し可能タイプ)
- 4. HT-Lock 335|金属配管用嫌気性シール剤(高耐熱・高接着タイプ)
- 5. HT-Seal F-109|ライニング鋼管・防食継手用シール剤
- 6. HT-Seal 135(ガス用)|都市ガス・LPG配管用シール剤
- 7. 5製品の比較早見表
- 8. 現場での選び方ガイド
- 9. 塗布・施工の基本手順
- 10. 現場でよくある失敗例
- 11. よくある質問(Q&A)
- 12. 保管方法と使用期限の注意点
- 13. 容量ラインナップとコストの目安
- 14. 現場シーン別・おすすめの組み合わせ例
- 15. 施工前チェックリスト
- 16. まとめ
はじめに
ネジ配管の水漏れ・ガス漏れ対策というと、まずシールテープを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし現場では、シールテープだけでなく「液状シール剤」を使う、あるいは併用するケースが数多くあります。中でも「ヘルメチック(Hermetic)」は、配管用シール剤の専門メーカーとして、給水・給湯・ガス・蒸気など、用途に応じた豊富なラインナップを展開しているブランドです。
とはいえ、いざ製品を選ぼうとすると、
- 「F-119と135、どちらを使えばいいのか分からない」
- 「HT-Lock 333と335って何が違うの?」
- 「ガス配管に使っていいシール剤とダメなシール剤の見分け方が分からない」
といった疑問にぶつかる方も多いはずです。この記事では、ヘルメチック製品の中でも代表的な**F-119/HT-Lock 333/HT-Lock 335/F-109/135(ガス用)**の5製品について、特徴・用途・耐熱性を整理し、現場でどう使い分ければよいかを解説します。
1. ヘルメチックとはどんなメーカーか
ヘルメチックは、配管用のシール剤・接着剤を専門に製造している国内メーカーです。「HT-Seal」シリーズ(液状の防食シール剤)と「HT-Lock」シリーズ(嫌気性シール剤・ねじロック剤)を中心に、水道・ガス・蒸気配管まで幅広い用途に対応した製品を展開しています。
いずれの製品も、水道用途ではJWWA K-161(給水用・給湯用シール剤の規格)、ガス用途ではガス機器検査協会の検査など、公的な規格・検査に適合していることが特徴です。「どの製品がどの規格に対応しているか」を理解することが、正しい製品選定の第一歩になります。
1-1. 「HT-Seal」と「HT-Lock」の違い
ヘルメチックの製品名には「HT-Seal」と「HT-Lock」という2つの系統があります。混同しやすいので、まずこの違いを押さえておきましょう。
- HT-Sealシリーズ(F-119、F-109、135など):ネジ部に塗布して密閉性を高める、いわゆる「シール剤」。空気に触れていても硬化するタイプが中心で、シールテープの代わり、またはシールテープと併用して使うイメージです。
- HT-Lockシリーズ(333、335、505、525、555、585など):金属同士が密着し空気が遮断された状態でのみ硬化する「嫌気性接着剤」。ネジのゆるみ止め剤としても使われる系統で、333・335は配管用、505以降はボルト・小ねじの脱落防止用として位置づけられています。
つまり、333と335はHT-Lockシリーズの中でも「配管用」に特化した製品であり、同じHT-Lockシリーズでもボルト用の製品(505・525・555・585など)とは用途が異なる点も覚えておくとよいでしょう。
1-2. シールテープとの違いと使い分け
配管の水漏れ・ガス漏れ対策としてまず思い浮かぶのはシールテープ(フッ素樹脂製のテープ)かもしれません。シールテープと液状シール剤には、それぞれ次のような特徴があります。
| 項目 | シールテープ | 液状シール剤(ヘルメチック) |
|---|---|---|
| 施工性 | 巻きつけるだけで手軽 | 塗布後に接合するひと手間が必要 |
| 密閉性 | ネジ山の隙間に依存しやすい | 隙間に流れ込み密着するため高い密閉性 |
| 潤滑効果 | ある程度あり | 製品によっては潤滑効果でネジが締めやすい |
| 防錆効果 | なし | 防食・防錆効果を持つ製品が多い |
| 巻き方によるムラ | 巻き方次第でばらつきが出やすい | 均一に塗布すれば安定した性能 |
現場では、シールテープだけでは密閉性に不安がある高圧配管や、防錆性能も同時に確保したい配管において、液状シール剤を単独、またはシールテープと併用して使うケースが多く見られます。特にライニング鋼管の管端防食のように「腐食対策」自体が主目的の箇所では、防食機能を持つ液状シール剤の使用が実質的に前提となります。
2. HT-Seal F-119|多用途配管用防食シール剤
特徴
F-119は、無溶剤・湿気硬化型のシリコン樹脂系シール剤です。有機溶剤を使用していないため、シックハウス対策品としても案内されており、においが少なく屋内作業でも使いやすい製品です。
硬化後は弾性を持つため、振動や温度変化による膨張・収縮にも追従しやすく、さらに完全硬化後でも取り外しが可能という扱いやすさも特徴です。使用可能温度範囲は−60℃〜220℃と非常に幅広く、寒冷地から高温配管まで対応できます。
主な用途
- 給水・給湯配管(JWWA K-161規格適合)
- 都市ガス・LPガス配管
- 塩ビネジ配管、ステンレス配管
- 水栓金具の取り付け、フレキ管・さや管のネジ接合部
- 不凍液を使用する配管
「まずどれか1本揃えておきたい」という場合、対応素材・対応流体の広さからF-119は非常に汎用性の高い選択肢と言えます。
3. HT-Lock 333|金属配管用嫌気性シール剤(弾性・取り外し可能タイプ)
特徴
HT-Lock 333は「嫌気性シール剤」に分類される製品です。嫌気性シール剤とは、空気に触れている間は液状のまま保たれ、金属のネジ接合部など空気が遮断された部分に入り込むことで初めて硬化する、という特殊な硬化メカニズムを持つ接着剤です。
333は溶剤を含まない常温硬化型で、硬化後はゴム状の弾性・柔軟性を持ちます。内圧変化や振動に強く、最高使用温度は150℃です。硬化後であっても取り外しが可能なため、将来的にメンテナンスで分解する可能性がある配管にも向いています。水質基準規格適合品であり、ガス機器検査協会の検査も受けている点から、水道配管・ガス配管の両方で使用実績があります。
主な用途
- 金属配管同士のネジ接合部(鋼管・ステンレス管・銅管など)
- 振動や温度変化が想定される配管
- 将来的な分解・メンテナンスを見込む配管
4. HT-Lock 335|金属配管用嫌気性シール剤(高耐熱・高接着タイプ)
特徴
335も333と同じくHT-Lockシリーズの嫌気性シール剤ですが、位置づけが異なります。335は高シール性・高接着力を重視した製品で、硬化後は「乾性固着」、つまり333のような弾性ゴム状ではなく、より硬く強固に固定されるタイプです。
最高使用温度は200℃と333より高く、耐圧性能も高く設計されており、ネジ部の耐圧試験で20MPa、フランジ部の耐圧試験で10MPaという結果が公表されています。その分、硬化後の取り外しは333ほど容易ではなく、基本的には「恒久的に固定したい箇所」に向いた製品です。
主な用途
- 高温・高圧条件の金属配管接合部
- 恒久的な固定を前提とした配管(分解を想定しない箇所)
- 振動よりも高いシール性・強度が求められる配管
333と335の使い分けの目安
| 項目 | HT-Lock 333 | HT-Lock 335 |
|---|---|---|
| 硬化後の性質 | ゴム状弾性(柔軟) | 乾性固着(強固) |
| 最高使用温度 | 150℃ | 200℃ |
| 取り外し | 可能 | 基本的に困難 |
| 向いている用途 | メンテナンス性重視、振動対策 | 高温・高圧、恒久固定 |
5. HT-Seal F-109|ライニング鋼管・防食継手用シール剤
特徴
F-109は、水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管や各種防食継手、鉄管の管端面・ネジ部の防食を目的としたシール剤です。無毒性で、上水・給湯・蒸気(150℃まで)配管に対応しており、においの少ないアルコール系溶剤を使用しています。JWWA K-161や国土交通省の機械設備工事共通仕様書など、国内規格・仕様書に適合した製品です。
注意点として、F-109はガス配管には使用できません。 ガス配管の場合は、この後紹介する135(ガス用)や、F-119、HT-Lock 333など、ガス用途に対応した製品を選ぶ必要があります。
また、F-109は使用しているうちに粘度が増して塗りにくくなることがありますが、その際は専用の「F-109・135用 溶解液」を混ぜることで塗布しやすい粘度に調整できます。
主な用途
- 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(ライニング鋼管)の管端防食
- 各種防食継手のネジ部
- 上水・給湯・蒸気(150℃以下)配管
6. HT-Seal 135(ガス用)|都市ガス・LPG配管用シール剤
特徴
135はガス用として案内されている製品で、都市ガス・LPG配管の防食シール剤として使用されます。F-109と同様に「F-109・135用 溶解液」で粘度調整ができる点も共通しています。
前述の通り、F-109はガス配管に使用できませんが、135はガス配管に対応しているという点が、この2製品の大きな違いです。型番が近く混同しやすいため、発注・購入の際は「ガス配管に使うか、水道・蒸気配管に使うか」を必ず確認し、製品ラベルやパッケージ記載を確認してから使用することをおすすめします。
主な用途
- 都市ガス配管のネジ接合部
- LPガス配管のネジ接合部
7. 5製品の比較早見表
| 製品名 | 分類 | 主な用途 | ガス配管 | 最高使用温度目安 | 硬化後の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| HT-Seal F-119 | 多用途防食シール剤 | 給水給湯・ガス・塩ビ・ステンレス等 | ○ | 220℃ | 弾性・取り外し可 |
| HT-Lock 333 | 嫌気性シール剤 | 金属配管全般・振動対策 | ○ | 150℃ | 弾性・取り外し可 |
| HT-Lock 335 | 嫌気性シール剤 | 高温高圧・恒久固定 | ― | 200℃ | 乾性固着・強固 |
| HT-Seal F-109 | 防食シール剤 | ライニング鋼管・防食継手 | × | 150℃ | 溶剤系・粘度調整可 |
| HT-Seal 135(ガス用) | 防食シール剤 | 都市ガス・LPG配管 | ○ | ― | 溶剤系・粘度調整可 |
※使用可能温度・適合規格は製品改良により変更される場合があります。実際の施工前には、メーカー公式サイトの仕様書・SDS(安全データシート)で最新情報を必ずご確認ください。
8. 現場での選び方ガイド
8-1. まず「ガス配管かどうか」を確認する
ガス配管に使用できるシール剤は限られています。F-109のようにガス配管に非対応の製品を誤って使用すると、規格不適合・保安上のリスクにつながります。配管の用途(水道/ガス/蒸気)を最初に確認し、対応製品を選びましょう。
8-2. 「分解を想定するか」で333と335を使い分ける
将来的なメンテナンスで配管を分解する可能性があるなら333、高温・高圧環境で恒久的に固定したいなら335、という基準で選ぶと判断しやすくなります。
8-3. 対象素材の相性を確認する
ライニング鋼管・防食継手にはF-109、金属配管同士の接合には嫌気性のHT-Lockシリーズ、素材や流体を問わず使いたい場合はF-119、という形で対象素材との相性も選定基準になります。
8-4. 迷ったら多用途タイプを選ぶ
現場で複数用途に対応させたい場合や、ストックする製品を絞りたい場合は、対応範囲の広いF-119を軸にしつつ、ガス配管専用に135、高強度が必要な箇所にHT-Lock 335を追加する、という組み合わせが実務的です。
9. 塗布・施工の基本手順
液状シール剤は「塗ればいい」というものではなく、正しい手順で施工することで初めて本来の性能を発揮します。ここでは一般的な施工の流れを紹介します(実際の施工では、必ず製品ごとの取扱説明書に従ってください)。
9-1. 下地処理
- ネジ部の油分・水分・切粉(きりこ)・古いシール材の残りをウエスやブラシで除去する
- 錆や汚れがひどい場合は、ワイヤーブラシなどで軽く清掃する
- 濡れたままの状態では密着不良の原因になるため、乾燥させてから塗布する
下地に汚れや油分が残っていると、シール剤が本来の密着性を発揮できず、後々の漏れの原因になります。地味な工程ですが、この下地処理を丁寧に行うかどうかで仕上がりが大きく変わります。
9-2. 塗布
- HT-Sealシリーズ(F-119、F-109、135など)は、雄ネジ側のネジ山に沿って均一に塗布する
- HT-Lockシリーズ(333、335)は、嫌気性接着剤の特性上、雄ネジ・雌ネジ両方、またはメーカー指定の塗布方法に従って塗布する
- 塗りすぎるとはみ出した部分が硬化不良を起こしたり、配管内部にはみ出して流体を汚染したりする可能性があるため、適量を意識する
9-3. 接合・締め付け
- ネジ込み後、規定のトルクで締め付ける
- 締め付け後にはみ出したシール剤は、硬化前に拭き取っておくと仕上がりがきれいになる
- HT-Lockシリーズは嫌気性のため、締め付け後、密閉された状態になってから硬化が進みます。硬化時間は気温や隙間の状態によって変わるため、メーカーが案内する完全硬化時間を確認してから通水・通気テストを行いましょう。
9-4. 養生・通水確認
締め付け後すぐに高い圧力をかけると、硬化が不十分な状態で漏れが生じることがあります。特に低温時は硬化が遅くなる傾向があるため、季節や気温に応じて養生時間に余裕を持たせることをおすすめします。
10. 現場でよくある失敗例
10-1. F-109とF-119・135の取り違え
型番が似ているため、ガス配管に非対応のF-109を誤って使用してしまう、というミスは実際の現場でも起こりがちです。発注時・在庫管理時から製品名を正確に区別し、置き場所を分けておくなどの対策が有効です。
10-2. HT-Lockシリーズの硬化前分解
嫌気性シール剤は締め付け直後はまだ硬化が完了していません。硬化前に配管を動かしたり、緩めて締め直したりすると、密閉性が損なわれたまま硬化してしまうことがあります。施工後は指定の養生時間をしっかり確保しましょう。
10-3. 塗布量の過不足
塗布量が少なすぎるとネジ山の隙間を埋めきれず、多すぎるとはみ出したシール剤が配管内に入り込んでしまいます。特に給水・給湯配管では、はみ出したシール剤が水質に影響しないよう、適量塗布を徹底することが重要です。
10-4. 対応温度を超えた環境での使用
333(150℃)と335(200℃)のように、製品ごとに使用可能な上限温度が異なります。想定より高温になる配管に低耐熱タイプを使用すると、シール性能が劣化し漏れにつながる可能性があります。配管の実使用温度(常用時だけでなく、蒸気配管などでは異常時の最高到達温度も含む)を確認した上で製品を選定しましょう。
11. よくある質問(Q&A)
Q1. シールテープと液状シール剤は併用してもよいですか?
製品や現場の慣習によって考え方が異なりますが、併用自体は広く行われています。ただし、テープの巻きすぎとシール剤の塗りすぎが重なると、かえって密閉不良やはみ出しの原因になることがあるため、それぞれ適量を意識することが大切です。詳細な可否・推奨方法は、製品の取扱説明書やメーカーへの確認をおすすめします。
Q2. 硬化するまでの時間はどれくらいですか?
製品や気温・湿度、ネジ部の隙間量によって異なります。一般的に、気温が低いほど硬化に時間がかかる傾向があります。正確な硬化時間・完全硬化時間は、各製品のカタログやSDS(安全データシート)に記載されているため、施工前に確認しましょう。
Q3. F-109・135用の溶解液は必ず必要ですか?
必須ではありませんが、保管中や使用中に粘度が増して塗りにくくなった場合に、専用の溶解液を混ぜることで塗布しやすい状態に調整できます。極端に粘度が上がってしまった製品を無理に使用するより、溶解液で調整するか、新しいロットに交換することをおすすめします。
Q4. 開封後の使用期限はどれくらいですか?
シール剤は経時劣化するため、メーカーが推奨する保管期限・使用期限があります。具体的な期限は製品パッケージやSDSに記載されているため、在庫として長期保管している製品を使う際は、製造年月・使用期限を必ず確認してください。
Q5. 素人(DIY)でも使えますか?
給水・給湯配管の小規模な補修であれば、正しい手順を守ることでDIYでも使用は可能です。ただし、都市ガス配管の工事は資格が必要な作業であり、無資格での施工はできません。ガス配管に関する作業は、必ず資格を持つ専門業者に依頼してください。
12. 保管方法と使用期限の注意点
液状シール剤は、温度・湿度・直射日光の影響を受けやすい製品です。一般的な保管の注意点は以下の通りです。
- 直射日光を避け、風通しのよい冷暗所で保管する
- 高温多湿の環境(夏場の車内や屋外倉庫など)での保管は劣化を早めるため避ける
- 使用後はキャップをしっかり閉め、ノズル部分に残った製品が固まらないよう清掃してから保管する
- 未開封であっても、メーカーが定める保管期限を超えたものは使用を避ける
在庫を多めに抱えている場合は、購入日・使用期限をラベリングして、古いものから使い切る「先入れ先出し」を徹底すると、期限切れによる性能低下やロスを防げます。
13. 容量ラインナップとコストの目安
ヘルメチック製品は、用途や施工規模に応じて複数の容量が展開されています。代表的なものとして、F-119は50mlチューブなど小容量タイプが流通しており、HT-Lock 333は100g・250gチューブ、335は100gチューブといった容量展開が確認できます。F-109・135についても、通販サイトや取扱店によって単品売りと箱買い(複数缶セット)の両方が用意されているケースが多く見られます。
小規模なDIY補修であれば小容量タイプ、施工件数の多い業務用途であれば箱買いタイプを選ぶことで、単価を抑えられる場合があります。実際の価格・容量ラインナップは流通時期によって変動するため、購入前にモノタロウ・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどの通販サイトで最新の在庫状況と価格を確認することをおすすめします。
また、開封後は徐々に粘度が変化していく製品でもあるため、「使い切れる量」を意識して容量を選ぶことも、無駄なコストを避けるポイントです。頻繁に使う現場では標準的な容量、たまにしか使わない小規模な補修用途では小容量タイプ、というように使用頻度に応じて選び分けるとよいでしょう。
14. 現場シーン別・おすすめの組み合わせ例
実際の現場では、複数の製品を使い分けることが一般的です。ここでは代表的な3つのシーンを例に、製品の組み合わせ方を紹介します。
14-1. 新築住宅・マンションの給水給湯配管工事
給水給湯配管では、水質規格への適合と施工性の良さが重視されます。多くの箇所でF-119を軸に使用し、ライニング鋼管を使用する箇所ではF-109を管端防食用に併用する、という組み合わせが考えられます。いずれもJWWA K-161などの規格適合品を選ぶことが前提です。
14-2. 工場の蒸気配管・高温配管の更新工事
蒸気配管など高温になる配管では、耐熱性の高い製品が求められます。常用温度が150℃を超える可能性がある箇所ではHT-Lock 335、比較的温度が低く将来的な分解・メンテナンスを想定する箇所では333、というように温度条件とメンテナンス性のバランスで選定します。
14-3. 都市ガス・LPガス機器の交換工事
給湯器やガスコンロなどのガス機器交換に伴う配管接続では、ガス配管に対応した製品を選ぶ必要があります。135(ガス用)やF-119、HT-Lock 333など、ガス対応の製品の中から現場条件に合わせて選定します。なお、ガス機器の配管工事は資格を要する作業であるため、施工は必ず有資格者が行う必要があります。
こうした形で、「配管の種類」「流体(水・ガス・蒸気)」「使用温度」「メンテナンス性の要否」という4つの軸を意識して製品を選定すると、現場ごとの最適な組み合わせを判断しやすくなります。
15. 施工前チェックリスト
最後に、施工現場でシール剤を選定・使用する際に確認しておきたいポイントをチェックリストとしてまとめます。発注前・施工前の最終確認にご活用ください。
- 未完了配管を流れる流体は「水・ガス・蒸気」のどれか確認したか
- 未完了ガス配管の場合、対応製品(F-119/HT-Lock 333/135など)を選んでいるか
- 未完了配管の想定最高使用温度(常用時・異常時)を確認したか
- 未完了将来的に分解・メンテナンスする可能性があるか(333/335の選定基準)
- 未完了対象素材(鋼管・ライニング鋼管・ステンレス・塩ビなど)に適合した製品か
- 未完了使用する製品の使用期限・保管状態に問題はないか
- 未完了下地(ネジ部)の油分・水分・汚れを除去したか
- 未完了塗布量は適切か(多すぎ・少なすぎになっていないか)
- 未完了締め付け後の養生時間を確保できるスケジュールになっているか
- 未完了通水・通気(通ガス)テストの実施計画があるか
このチェックリストを一つずつ確認するだけでも、型番の取り違えや施工不良によるトラブルを大きく減らすことができます。特に複数現場を掛け持ちする場合や、複数人で作業を分担する場合は、チェックリストを共有しておくと認識のズレを防ぎやすくなります。
16. まとめ
- F-119:無溶剤・多用途対応で、給水給湯からガスまで幅広く使える万能タイプ
- HT-Lock 333:弾性硬化・取り外し可能な嫌気性シール剤。振動対策やメンテナンス性重視の配管に
- HT-Lock 335:乾性固着・高耐熱(200℃)の嫌気性シール剤。高温高圧・恒久固定向け
- F-109:ライニング鋼管・防食継手用。ガス配管には非対応な点に注意
- 135(ガス用):都市ガス・LPG配管専用。F-109と型番が近いため混同注意
いずれの製品も「どの配管に、どの流体を通すか」によって最適な選択が変わります。型番だけで判断せず、対応用途と規格適合をあわせて確認する習慣をつけることが、施工トラブルを防ぐ一番のポイントです。
購入の際は、上記のことを参考に現場に合った製品を選んでみてください。


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