1. やりとり継手とは?
排水管の補修やリフォーム工事では、既設の配管を一部だけ交換したい場面がよくあります。
しかし、通常のソケットでは差し込みスペースが大きく必要になり、短い区間だけを差し替えるのは難しいのが実情です。
そこで活躍するのが「やりとり継手(割り込み継手)」です。
- 短いスペース(数十cm)で管の差し替えが可能
- 内部に段差ができず、排水の流れを妨げない
- 接着式/スライド式など種類があり、現場に応じて使い分け可能
つまり「やりとり継手」とは、既設管を切断して新しい管を“割り込ませる”ための専用継手のことです。
配管更新やマス周りの補修など、屋外埋設の排水工事に欠かせない部材となっています。
2. アロン化成のやりとり継手シリーズ
アロン化成では、代表的な3種類のやりとり継手がラインナップされています。
- CU SLR(標準やりとり継手)
- CU YWR(両側スライドやりとり継手)
- CU YKR(片側スライドやりとり継手)
それぞれの特徴と違いを以下で詳しく解説していきます。
3. アロン化成 CU SLR(標準やりとり継手)
特徴
- スライド機構なし(固定式)
- 230mm程度の短いスペースで割り込み可能
- CU VP SLRは色は透明 偏芯タイプ・同芯タイプを選べる
- サイズ展開:CU SLR 50A〜250A CU VP SLR(SLR-D)透明 75〜150
- 滑剤付き(200・250除く)
メリット
- 最もベーシックで安価
- 両側から差し込みやすい設計
- 排水管内に段差や溜まりができにくい
注意点
- 排水専用(給水・給湯には使用不可)
- 接着剤を使用するため、施工時は清掃・塗布を丁寧に行う必要あり
特によく出る100のサイズの各商品のリンクを載せさせていただきます
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4. アロン化成 CU YWR(両側スライドやりとり継手)
特徴
- 両端がスライド式で伸縮可能
- 短いスペースでも割り込みしやすい
- ゴム輪(パッキン)接合 → 接着剤不要(サイズによる)
- サイズ展開:(VU,VPタイプ共に)75、100、125、150
メリット
- 両側が動くため施工自由度が高い
- 接着剤を使わず施工可能(ゴム輪式)
- 段差のない内面設計で排水性能良好
注意点
- 滑剤の有無はサイズで異なる(75・100は不要、125・150は付属)
75と100のサイズのリンク載せさせていただきます
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5. アロン化成 CU YKR(片側スライドやりとり継手)
特徴
- 片側のみスライド可能
- もう一方は固定 → マス直結に便利
- VP管・VU管どちらにも対応
- サイズ展開:(VU,VPタイプ共に)75、100、125、150
メリット
- マス接続など片側のみズラしたい現場に最適
- 内面段差なし → 排水の流れを妨げない
- コンパクトで作業効率が良い
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6. 3種類の比較表
製品名 | スライド機能 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|---|
CU SLR | なし | 割り込み・差し替え全般 | 最もベーシック、安価、接着式 |
CU YWR | 両側スライド | 狭い現場・補修工事 | 両側可動、省スペース、パッキン式 |
CU YKR | 片側スライド | マス接続・片側差し替え | マス直結に便利、片側だけ動かせる |
7. 施工方法
CU SLR(固定タイプ・標準やりとり継手)
- 既設管を切断
- 230mm程度の間隔を確保して切断します。
- 切断面は面取り・バリ取りを行い清掃。
- 接着剤塗布
- 管と継手の接合部を乾いた布で拭き取り清掃。
- 規定の塩ビ用接着剤を両面に均一に塗布。
- 差し込み
- 継手の両側から管を差し込みます。
- 偏芯タイプの場合は、管底を揃えるように注意。
- 固定・養生
- 差し込んだ後は動かさずに固定。
- 規定時間養生してから通水。
CU YWR(両側スライドやりとり継手)
- 既設管を切断
- 既設管を必要な長さで切断。
- 切断面を清掃・面取り。
- スライド部を縮める
- 継手の両端をスライドさせ、短い状態にします。
- 片側を差し込み
- まず片側の管に継手を差し込みます。
- 反対側にスライドして接続
- 継手をスライドさせながら反対側の管に差し込みます。
- 位置調整・確認
- ゴム輪接合の場合は接着剤不要ですが、必要に応じて滑剤を使用。
- 段差がなく正しい位置に収まっているか確認。
CU YKR(片側スライドやりとり継手)
- 既設管を切断
- 接続する管またはマスに合わせて必要長さを切断。
- 切断面は清掃・面取り。
- 固定側を接続
- 継手の固定側を既設管またはマスに接続。
- スライド側を縮めて差し込み
- スライド部を縮め、もう一方の管に差し込みます。
- スライドを戻して接続完了
- 徐々にスライドを戻してぴったり密着させる。
- ゴム輪接合で水密性を確保。
8. 施工の注意点
- 接着式(CU SLR)は接着剤の均一塗布と養生時間を守ること。
- ゴム輪式(CU YWR・CU YKR)は、管端の面取り・清掃を丁寧に。
- 偏芯タイプは管底を揃えることが重要。
- 施工後は必ず通水試験や水密確認を行う。
9. まとめ|現場条件に合わせて最適なやりとり継手を選ぼう
アロン化成の「やりとり継手シリーズ」は、排水管の差し替え・割り込み工事を効率よく行える便利な継手です。
- CU SLR(標準タイプ)
最もベーシックな固定式。短いスペースでの割り込みに最適。 - CU YWR(両側スライド)
両側がスライドできるため、省スペース施工や交換工事で高い自由度を発揮。 - CU YKR(片側スライド)
片側だけ可動。マスへの直結や片側だけズラしたい場面で便利。
いずれも「排水専用」で、給水・給湯など圧力配管には使えない点には注意が必要です。
👉 ポイントは、
- 割り込み全般なら → CU SLR
- 狭い現場や施工自由度重視なら → CU YWR
- マス接続や片側施工なら → CU YKR
現場条件や配管構造に合わせて最適なタイプを選ぶことで、作業効率と施工品質を大きく向上させることができます。
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