森永ドルゴ通気弁とは──排水通気を変えた画期的システムの全貌

管類
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1974年にスウェーデンで開発されたドルゴ通気弁は、従来の「外気開放方式」に頼らない画期的な排水通気システムです。日本国内では1983年に初めて導入され、森永ドルゴ通気弁として販売が始まりました。以来40年以上にわたり、多くの建築現場で採用されてきました。

通気弁の性能は、国際規格(EN12380-2002)準拠の試験方法によって評価されており、通気量・気密性能・耐久性といった複数項目で高い性能を証明しています。今や、世界中で「屋内通気弁のスタンダード」として認められる存在となっています。


ドルゴ通気弁の6つのメリット

  1. 防水処理が不要
    外気へ通気を開放する必要がないため、壁や屋根を貫通させる必要がなく、防水処理の手間を省けます。これにより建物の劣化リスクを軽減できます。
  2. 工期短縮
    ベントキャップや通気ガラリなどの部材が不要になり、配管部材の削減とともに施工時間を短縮できます。
  3. 建築デザインの自由度向上
    外観をすっきりと保ちつつ、配管スペースを最小限にできるため、建物デザインの自由度が増します。
  4. 臭気・汚れ防止
    逆止弁構造により管内の臭気を外部に出さず、外壁を汚す心配もありません。
  5. メンテナンス性の向上
    Eソケット付タイプは本体が着脱可能で、点検が容易。特に集合住宅や商業施設でのメンテナンス効率に優れています。
  6. 寒冷地対応
    積雪や凍結による通気管の閉塞や氷柱落下の心配がなく、寒冷地でも安心して採用できます。

作動原理(簡単な仕組み)

排水時に管内が負圧になると、通気弁が自動的に開いて大気を取り込み、器具トラップの封水切れを防止します。逆に正圧時や排水逆流時には弁が閉じ、臭気や水が外に漏れないようになっています。シンプルながら非常に信頼性の高い仕組みです。


製品ラインナップ

  • 屋内設置用(Eソケット付)
    標準タイプ。ABS樹脂やEPDMゴムを使用し耐久性を確保。
  • 屋外設置用(トップカバー付)
    アルミ製トップカバーで直射日光や劣化を防ぎ、屋外やバルコニーの通気処理に最適。既存建物の臭気対策にも有効。
  • ドルゴプラス・ミニドルゴ
    国内初の「あふれ縁下設置」が可能な小型タイプ。器具トラップの封水切れ防止や逆流防止機能を備え、台所や洗面台に適用。

Eソケット付ドルゴプラス通気弁

ミニドルゴ 台所流し用

ミニドルゴ 洗面・手洗器用

ミニドルゴ 台所流し・横管用

ミニドルゴ 洗面・Pトラップ用

  • ドルゴ低位通気弁
    排水器具より低位に取り付け。狭い場所でも簡単設置。排水横主管・排水横枝管のピット内通気処理を可能にした

(塩ビソケット・接着タイプ)

(塩ビ管・接着タイプ)

LPD-75 ドルゴ低位通気弁


規格との比較:外気開放方式 vs ドルゴ通気弁方式

従来の外気開放方式は、排水立て管を屋上まで延長し、大気と接続する方法です。この方式では壁・屋根の貫通部に防水処理が必要で、寒冷地では凍結リスクもありました。

一方でドルゴ通気弁方式は、排水立て管や排水横枝管の頂部に通気弁を設置することで同等の通気性能を確保。空気調和衛生工学会規格(SHASE-S 206-2019)に基づく定常流量法により、外気開放と同等の通気性能を持つことが実験的に確認されています。

つまり、建築基準や衛生工学会規準を満たしながら、施工負担やリスクを大幅に軽減できるのがドルゴ通気弁の大きな特徴です。


施工事例

  1. 集合住宅(10階建)
    屋上の通気管貫通を省略し、各階の排水横枝管にドルゴ通気弁を設置。これにより屋上防水の信頼性が向上し、外観デザインもすっきり。
  2. 戸建住宅(寒冷地)
    屋根上に突出する通気管をなくし、積雪による閉塞や氷柱落下事故を防止。冬季のメンテナンスコストを削減。
  3. 商業施設(大型ショッピングモール)
    広大な床面積に多数の器具を配置するため、排水横枝管ごとにドルゴ通気弁を設置。これにより工期を短縮し、コスト削減効果も大きかった事例。

Q&A よくある質問

Q1. 通気弁はメンテナンスが必要ですか?
A. 基本的にはメンテナンスフリーですが、長期使用の場合は点検を推奨します。Eソケット付タイプなら簡単に着脱可能です。

Q2. 臭気が漏れる心配はありませんか?
A. 逆止弁構造により臭気は外に出ません。国内外の規格試験でも高い気密性能が確認されています。

Q3. どのサイズを選べばいいですか?
A. 原則として排水立て管に設置する場合は同径サイズ、排水横枝管に設置する場合はその管径の1/2以上を選定します。

Q4. 寒冷地でも問題なく使えますか?
A. はい。屋外設置タイプはアルミカバーにより耐候性を確保しており、凍結や積雪の影響を受けにくくなっています。

Q5. 価格はどの程度ですか?
A. サイズや用途によって異なりますが、標準タイプで1個8,000円台から、大型・屋外用では2〜3万円台までのラインナップがあります。


まとめ

森永ドルゴ通気弁は、従来の外気開放方式では避けられなかった課題を解決し、施工の効率化と建物の長寿命化を両立する画期的な排水通気弁です。

  • 防水処理不要
  • 工期短縮・コスト削減
  • デザイン性向上
  • 臭気防止・清潔性アップ
  • 寒冷地対応

という多くのメリットがあり、住宅から商業施設まで幅広く活用されています。今後の排水設備計画や改修において、導入を検討する価値の高い製品といえるでしょう。

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