はじめに:VU管はわかるけど、継手の記号が読めない
塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)を使った排水配管の現場では、「VU管」自体は知っていても、継手の型番表記(VU90L、VUDSなど)になると「結局どれがどんな形の継手なのか分からない」という方が意外と多いのではないでしょうか。
VU継手は記号の組み合わせによって形状や用途が決まっているため、記号の意味さえ理解すれば、型番を見ただけで継手の形状がイメージできるようになります。この記事では、VU継手の中でも特に基本となるVU90L・VU45L・VUDS・VUDT・VUY・VULT・VULL**の7種類について、それぞれの特徴・用途を解説し、後半では実際の接着接合による施工方法も詳しく紹介します。
1. VU管・VU継手の基礎知識
1-1. VU管とは
VU管は、正式には「硬質ポリ塩化ビニル管(VU)」と呼ばれる、主に屋外排水・雑排水・雨水配管などに使用される塩ビ管です。同じ塩ビ管でも、給水・給湯に使われるVP管(耐圧管)に比べて肉厚が薄く設計されており、無圧(自然流下)で排水を流す配管に適した規格になっています。
1-2. VU継手とは
VU継手は、このVU管同士、あるいはVU管と設備・枡などを接続するための塩ビ製継手です。屋外排水設備用硬質塩化ビニル管継手として、塩化ビニル管・継手協会規格(JPPFA AS 38)などに基づいて製造されており、多くは接着接合(のり付け)によって接続します。
1-3. 型番記号の読み方
VU継手の型番は、「VU」+「形状・角度を示す記号」で構成されています。基本となる記号の意味を押さえておくと、初めて見る型番でも形状を推測しやすくなります。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| L | エルボ(曲がり継手)。角度は90°または45°で表記(90L・45L) |
| S | ソケット(まっすぐ接続する継手) |
| D | ドレン(排水・通気の意味) |
| T | チーズ(T字に分岐する継手) |
| Y | Y字に分岐する継手(多くは45°の緩やかな分岐) |
| LT | 「大曲がり」を意味する記号。急角度の合流を避けつつ90°方向で枝管を合流させる |
| LL | 「大曲がり」を意味する記号。通常の90°エルボよりも曲がりの半径を大きくとる |
この組み合わせにより、記号の意味を足し合わせて読み解くことができます。
2. VU90L|90°エルボ
2-1. 特徴
VU90Lは、配管の方向を90度(直角)に変えるためのエルボ継手です。「90」が角度、「L」がエルボ(Long/曲がりを意味する記号)を表しています。配管が壁際で直角に曲がる箇所や、竪管から横引き管に切り替わる箇所など、方向転換が必要な場面で使用されます。
2-2. 用途と注意点
排水配管においては、90°の急な方向転換は水の流れの抵抗が大きく、汚物や異物が引っかかりやすいというデメリットがあります。そのため、汚水系統の横引き配管では、VU90Lを多用せず、後述するVU45LやVUYを組み合わせて緩やかに方向転換する設計が推奨されるケースが多くあります。一方で、雨水配管や、方向転換のスペースが限られる箇所では、VU90Lが選択されることも少なくありません。
3. VU45L|45°エルボ
3-1. 特徴
VU45Lは、配管の方向を45度に変えるためのエルボ継手です。90°エルボに比べて曲がりが緩やかなため、水の流れがスムーズで、抵抗や詰まりのリスクを抑えられる点が特徴です。
3-2. 用途
排水配管の設計では、方向を90度変える必要がある場合でも、VU45Lを2つ組み合わせて緩やかに方向転換させる、という手法がよく使われます。特に汚水配管では、流れの抵抗を減らし、固形物の詰まりを防ぐ観点から、可能な限り急激な角度変化を避ける設計が望ましいとされています。スペースに余裕がある箇所では、90°エルボ1つよりも45°エルボ2つを使う方が、排水性能の面で有利になることがあります。
4. VUDS|ソケット
4-1. 特徴
VUDSは、口径の変わらない同径のVU管同士を、方向を変えずにまっすぐ接続するためのソケット継手です。名前に「D」が付いていますが、これは「異径」を意味するものではなく、VU管・DV管のいずれの管を差し込んでも接合部に内面段差が生じないように設計された継手シリーズ(VUDV継手)であることを示す記号です。管の突き合わせ部分の内面がフラットになるため、排水の流れを妨げにくいという特徴があります。
4-2. 用途
配管を延長したい場合や、途中で管を切断して補修・やり直しをする場合など、「口径・方向は変えずにまっすぐつなぎたい」箇所で使用される、もっとも基本的な継手のひとつです。なお、口径の異なるVU管同士をまっすぐ接続したい場合は、VUDSではなく「インクリーザ(VU-IN)」と呼ばれる異径専用の継手を使用します。VUDSとVU-INは形状が似ていても用途が異なるため、口径が変わるかどうかで選定を誤らないよう注意しましょう。
5. VUDT|異径チーズ
5-1. 特徴
VUDTは、本管に対して直角(T字)に枝管を分岐させるチーズ継手です。「D」は前述の通り「異径」ではなくドレン系継手(VUDV継手)であることを示す記号で、VU管を差し込んでも接合部に内面段差が生じないよう設計されています。ラインナップの中には、本管と枝管が同じ口径の組み合わせだけでなく、枝管側の口径を本管より小さくした組み合わせも用意されており、現場の配管計画に応じて口径の組み合わせを選定します。
5-2. 用途
竪管や横主管に、器具排水などの枝管を直角に分岐・合流させたい場合に使用される継手です。理論上は、チーズ(T字継手)は分岐が直角であるため、流れの合流時に乱流や逆流が生じやすく、詰まりの原因になりやすいという指摘もあります。しかし実際の現場では、枝管をそのまま垂直方向に立ち上げ・立ち下げできる施工性の良さから、VUDTは非常によく使われる継手です。後述するVUY(45°Y継手)は流れの面では有利なものの、45°の角度を確保するために枝管側に余分な直管部分が必要になるため、天井裏や床下などスペースに制約がある現場ではかえって納まりにくく、結果としてVUDTの方が使用頻度は高くなる傾向にあります。
異形
6. VUY|45°Y継手
6-1. 特徴
VUYは、本管に対して45度の緩やかな角度で枝管を合流させる、Y字形状の分岐継手です。チーズ(T字)による直角分岐に比べて、水の流れが合流しやすく、乱流や逆流、固形物の引っかかりを抑えられる点が最大の特徴です。
6-2. 用途
排水配管の設計上は、直角に合流するチーズよりも、流れに沿って緩やかに合流するY字継手の方が乱流・逆流を抑えやすいとされています。ただし、45°の角度で合流させるためには、その分だけ枝管側に直管部分の長さを余分に確保する必要があるため、天井裏や床下などスペースに制約がある現場では採用しづらい場合があります。そのため実務上は、直管長さに余裕がある箇所や、特に詰まりやすさが懸念される系統に限ってVUYが選ばれることが多く、使用頻度としては次に紹介するVULTや、前述のVUDTの方が高い傾向にあります。
7. VULT|90°大曲がりY(緩やかな合流継手)
7-1. 特徴
VULTは、正式には「90°大曲がりY」と呼ばれるVUDV継手シリーズの合流継手です。名前の「LT」は「大曲がり(ロングターン)」を意味し、枝管を90°方向に合流させながらも、チーズ(VUDT)のような急角度の合流ではなく、大きな曲率半径(スイープ)を描いてゆるやかにつながる形状になっている点が最大の特徴です。VU管と接合しても内面段差が生じないよう設計されたVUDV継手の一種で、φ50~200の同径タイプに加えて、枝管側の口径を絞った「径違い90°大曲がりY」もラインナップされています。
イメージとしては、直角に分岐するVUDT(チーズ)と、45°で緩やかに合流するVUY(Y継手)の中間に位置する継手で、「90°方向で合流させたいが、チーズだと乱流や逆流が心配」という場面で選ばれる継手です。
7-2. 用途
VUDTと同じく、VULTも本管に対して90°方向でそのまま接続できるため、45°の角度を確保するための直管長さを必要とせず、省スペースに納められるのが大きな強みです。そのため現場では、45°で緩やかに合流させるVUYよりも、90°方向で施工できるVULTの方が使われる頻度は高い傾向にあります。加えて、同じ90°方向の合流継手であるVUDT(直角のチーズ)と比べても、VULTは内部の流路が滑らかな曲線でつながっているため、乱流や逆流が生じにくく、詰まりのリスクを抑えられる点で優れています。
現場での優先順位としては、90°方向で省スペースに納められるVULT・VUDTがまず候補になり、その中でも極力乱流や詰まりを抑えたい箇所ではVULTを、コストや入手性を優先する箇所ではVUDTを選ぶ、という考え方が実務に近いといえます。VUY(45°Y)は、流れの面ではもっとも有利な形状ですが、角度を確保するための直管長さが必要になる分、スペースに十分余裕がある箇所に限って選ばれる継手、という位置づけになります。
異形
8. VULL|90°大曲がりエルボ(緩やかな方向転換継手)
8-1. 特徴
VULLは、正式には「90°大曲がりエルボ」と呼ばれるVUDV継手シリーズのエルボです。VU90L(通常の90°エルボ)が比較的小さな曲がり半径で直角に方向転換するのに対し、VULLは曲がりの半径(スイープ)を大きくとることで、同じ90°の方向転換でもより緩やかなカーブを描く形状になっている点が特徴です。VU管と接合しても内面段差が生じないよう設計されたVUDV継手の一種で、φ50~200のサイズがラインナップされています。
先ほど紹介したVULT(90°大曲がりY)が「分岐・合流」を緩やかにする継手であるのに対し、VULLは「単純な方向転換」を緩やかにする継手、と捉えると整理しやすいでしょう。
8-2. 用途
VULLが選ばれるのは、VU90Lでは方向転換部の抵抗が大きく、詰まりや流速低下が懸念される箇所です。特に口径の大きい排水立て管や、汚物・固形物を含む排水が流れる系統、勾配の確保が難しい横引き配管などでは、通常の90°エルボよりも大曲がりエルボを使うことで、水の流れがスムーズになり、配管内での抵抗・騒音・詰まりのリスクを抑えられます。
一方で、VULLは通常のVU90Lに比べて曲がりの半径が大きい分、継手自体の設置スペース(特に管軸方向の奥行き)を多く必要とします。そのため、スペースに余裕がある箇所ではVULLを積極的に採用し、スペースが限られる箇所では従来通りVU90Lを使う、という使い分けが現実的です。VU45Lを2つ組み合わせて緩やかに方向転換させる方法と目的は近いものの、VULLは1つの継手で完結するため、継手数を減らして接合箇所(=漏水リスクのある箇所)を減らせる点もメリットといえます。
8. 7種類の比較表
| 継手 | 記号の意味 | 形状 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| VU90L | 90°+エルボ | 直角に曲がる | 方向転換(雨水配管など) |
| VU45L | 45°+エルボ | 緩やかに曲がる | 方向転換(汚水配管の緩やかな曲げ) |
| VUDS | 異径+ソケット | まっすぐ・口径変化 | 同径管の直線接続(延長・補修など) |
| VUDT | チーズ | T字・口径変化 | 枝管の直角分岐(同径・異径の組み合わせあり |
| VUY | Y字(多くは45°) | 緩やかなY字分岐 | 枝管の緩やかな合流(汚水配管向き) |
| VULT | 大曲がり+T. | 90°方向・大きな曲率で合流 | 省スペースかつ詰まりにくい合流 |
| VULL | 大曲がり+エルボ | 90°方向・大きな曲率で方向転換 | 詰まり・抵抗を抑えたい方向転換(VU90Lの代替) |
排水配管の設計では、「急な角度変化を避け、できるだけ緩やかに水を流す」という考え方が理論上の基本になりますが、実際の現場では設置スペースの制約も選定を大きく左右します。方向転換については、スペースに余裕があればVU45LやVULLが好まれます。一方で分岐・合流については、45°で角度をとるVUYは直管長さを余分に必要とするため、90°方向でそのまま省スペースに納められるVUDT・VULTの方が、実務上は使用頻度が高くなる点を押さえておきましょう。
9. VU継手の接着接合|施工方法
VU継手の多くは「接着接合(TS接合)」と呼ばれる、専用の接着剤を使って管と継手を一体化させる方法で接続します。ここでは基本的な施工手順を紹介します。
9-1. 必要な道具
- 塩ビ管用のこぎり(または専用カッター)
- 面取り器・やすり
- ウエス(布)
- 洗浄剤(脱脂用)
- 塩ビ管用接着剤
- 差込み深さを確認するための鉛筆・スケール
9-2. 施工手順
1. 管の切断
配管に必要な長さで、VU管を管軸に対して直角になるようにまっすぐ切断します。斜めに切断すると、継手への差込みが不十分になったり、接着面積が均一にならなかったりする原因になります。
2. 面取り(バリ取り)
切断面の外側の角を、面取り器ややすりで軽く削り取ります。バリが残ったまま差し込むと、継手内部のゴムパッキンや接着剤の被膜を傷つけたり、差し込みの抵抗になったりします。
3. 差込み深さの確認・けがき線
継手に管を実際に差し込み、どこまで入るか(差込み深さ)を確認した上で、管の外側に鉛筆などで差込み深さの線(けがき線)を引いておきます。これにより、接着剤塗布後に「奥まで入ったかどうか」を目視で確認できるようになります。
4. 接着面の清掃
管の外面・継手の受口内面に付着した砂・土・水分・油分をウエスで丁寧に拭き取ります。汚れや水分が残っていると、接着剤が本来の性能を発揮できず、後々の漏水につながる恐れがあります。
5. 接着剤の塗布
塩ビ管用接着剤を、まず継手の受口内面に、次に管の外面に、薄く均一に、かつ手早く塗布します。接着剤は塗布後すぐに乾き始めるため、もたついていると接着不良の原因になります。
6. 差し込み
接着剤を塗布したら、間を置かずに管を継手へまっすぐ、ひねらずに一気に差し込みます。途中で止めたり、斜めに挿入したり、叩き込んだりする行為は、漏水の原因になるため避けましょう。けがき線の位置まで確実に差し込みます。
7. 保持
差し込んだ直後は、接着剤が管を押し戻そうとする反力が働くため、一定時間(製品によって異なりますが、数十秒程度が目安です)そのままの位置で押さえて保持します。ここで手を離してしまうと、管が戻って差込み不足になることがあります。
8. はみ出た接着剤の除去
接合部からはみ出した接着剤は、硬化する前にウエスで拭き取っておくと、仕上がりがきれいになるだけでなく、はみ出した接着剤が管内部に垂れ込んで排水の妨げになることも防げます。
9. 養生
接着剤が完全に硬化するまでは、接合部に無理な力をかけたり、通水したりしないよう、一定の養生時間を確保します。気温が低いと硬化に時間がかかる傾向があるため、季節に応じて余裕を持たせましょう。
9-3. 施工時の注意点
- 塩ビ管用接着剤は有機溶剤を含むため、屋内での作業時は必ず換気を行い、火気の近くでの使用は避けてください
- 接着剤や洗浄剤が皮膚に付着しないよう、手袋を着用して作業することが推奨されます
- 一度接着して硬化した継手は、やり直しが効かないため、差込み深さ・角度を接着前に必ず確認しておくことが重要です
- 異径継手(VUDS・VUDT)は、上流側・下流側で口径が異なるため、施工前に配管図面と現物の口径を照合し、取り付け方向を誤らないようにしましょう
10. まとめ
- VU90L:90°エルボ。直角に方向転換する継手
- VU45L:45°エルボ。緩やかに方向転換し、排水の抵抗を抑えたい箇所に
- VUDS:異径ソケット。口径の異なる管をまっすぐ接続
- VUDT:チーズ。枝管をT字(直角)に分岐(本管と枝管が異径になる組み合わせも選定可能)
- VUY:45°Y継手。枝管を緩やかに合流させ、詰まりにくさを重視する箇所に
- VULT:90°大曲がりY。90°方向で省スペースに納めつつ、VUDTより緩やかな曲線で合流できるため、現場ではVUYより使われる頻度が高い
- VULL:90°大曲がりエルボ。90°方向で方向転換させつつ、大きな曲率で緩やかにつなぐ、VU90Lの代替となる継手
排水配管では「急な角度変化を避け、緩やかに水を流す」という設計思想が理論上の基本にありますが、実際の現場では設置スペースの制約が選定に大きく影響します。方向転換ではVU45L・VULLが、分岐・合流では省スペースに納められるVUDT・VULTが、実務上はよく使われる継手であることも押さえておきましょう。また、接着接合は一度硬化するとやり直しがきかないため、切断・面取り・清掃・差込み深さの確認といった下準備を丁寧に行うことが、施工の質を左右する最大のポイントです。
購入の際は、現場に合ったサイズ・形状の継手を選んでみてください。


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