排水鋳鉄管とは、建物の排水設備に用いられる鋳鉄製の管材で、特に1970年代〜2000年頃までの建築物で多く採用されてきた歴史があります。厚みがあり耐久性が高く、防音性にも優れていることから集合住宅や公共施設に多く使われてきました。代表的なメーカー クボタケミックスが2017年3月末で廃盤となりました そのため現在は排水鋳鉄管から塩ビ又は鋼管に変換する方法についての問い合わせがあるのでこの記事でまとめてみました
廃盤の背景
近年では以下のような理由から、排水鋳鉄管の生産が終了・縮小されています:
- 製造コストの高さ
- 重量があり施工性が悪い
- 代替品(塩ビ管やポリエチレン管など)の性能向上
- クボタケミックスでカンペイ立て管という代替品ができた
- 錆や腐食による長期的な劣化問題
改修が必要な理由
鋳鉄管は経年劣化により以下のようなトラブルが発生します:
- ピンホール(小さな穴)による漏水
- 継手部の腐食・破損
- 内面の詰まり・スケール付着
これらは建物の寿命や住環境に大きく影響するため、適切な改修が必要になります。
改修方法の例
1. 塩ビ管・鉄管への変換
排水鋳鉄管の坊主管から塩ビ管やSGPなどの鋼管へ交換する工法です。
- 使用例:ダイドレ「MD・SLAジョイント」など
- 特長:中間変換ソケットを使用して異種管接続が可能
- 鋳鉄管側をSLA(鋳鉄管用フランジセット)間にMDソケット本体 塩ビ(VP管)又は鋼管側に通常のMDフランジセットで接続
2. 継手接続(リレーゴム使用)
- リレーゴム(異径・異種管対応)を使い、既存の鋳鉄管に塩ビ管・鋼管などを接続
- 比較的簡易に改修が可能
- 押輪とボルトナットすでについているものが使用できればゴム輪のみの交換でOK(鋳鉄管用ゴム輪=切ゴムから異種管用ゴム輪=リレーゴムへ交換)
- 鋳鉄管用 押輪、ゴム輪、ボルトナットは現在でも販売している
鉛管との接続改修
一部の古い建物では、鉛管と鋳鉄管が接続されている場合があります。(鋳鉄管のLY用フランジと鉛管が接続されている場合)
- アキレス「ACI-7516Y」(口径が75の場合):鉛管を外したところに塩ビ管を安全につなぐためのアダプタ 「50の場合はACI-5016Y、100の場合はACI -10016Yになります」
- ナガセ「アダプターフランジ」:既存配管に応じた多種対応型のフランジ変換アダプタ
- LY用フランジ、ボルトナットは現在でも販売している
カップリングを用いた変換方法
ショーボンドマテリアル FCVタイプを使用することで 排水鋳鉄管(直管=ボウズ管)と塩ビVP又は鋼管が接続できます
管径:80A〜150A
圧力:0.29MPa(配管固定時)
温度:−20℃〜80℃(VP管で使用時は、5℃〜60℃まで)
まとめ
排水鋳鉄管の廃盤により、改修時には異種管接続や適切なアダプタの選定が重要です。
施工現場では、信頼性の高い製品を使いながら、安全で確実な接続を目指すことが求められます。
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