はじめに
宅地内の排水配管工事において、欠かせない存在が小口径マスです。汚水や雑排水を適切に流し、詰まりの点検・清掃口として機能するマスは、配管システムの中でも特に重要な役割を担います。
その小口径マス市場で長年にわたり高いシェアを誇るのが、アロン化成株式会社のSDシリーズです。住宅の新築工事から改修工事まで、全国の施工現場で広く使用されているSDシリーズですが、「どの型番を選べばいいかわからない」「90L・ST・90Yの違いが分からない」という声も少なくありません。
この記事では、SD 90L(90度曲り)・SD ST(ストレート)・SD 90Y(90度合流)の3種類について、各型番の仕様・用途・サイズ選びのポイントを徹底解説します。よく使われる100-150・100-200・150-200の各サイズについても詳しく説明しますので、資材選定の参考にしてください。
アロン化成とは──塩ビ製品のパイオニアメーカー
アロン化成株式会社は、塩化ビニル(塩ビ)製品の製造・販売を中心とする日本の化学メーカーです。農業・建設・環境インフラなど幅広い分野で製品を展開しており、排水マス・継手・配管資材の分野では業界をリードする存在として知られています。
SDシリーズの小口径マスは、日本の宅地排水配管に標準的に使われる製品として普及し、プラスチック・マスマンホール協会規格対象品としても認定されています。施工性・耐久性・経済性のバランスが高く評価されており、設備業者から一般施主まで幅広いユーザーに選ばれ続けています。
小口径マス(SDシリーズ)とは
小口径マスとは、宅地内の排水配管ルート上に設置される塩ビ製の点検口付き継手ボックスです。排水の方向転換・合流・直線通過などの機能を持ち、配管の曲がり点・合流点・起点などに設置されます。
小口径マスが必要な理由
排水配管は単純な直管だけでは構成できません。建物の間取りや敷地形状に合わせて方向を変えたり、複数の排水ラインを合流させたりする必要があります。また、詰まりが発生したときに点検・清掃できる「アクセスポイント」を設けることは、排水設備の維持管理において非常に重要です。小口径マスはその両方の役割を同時に果たします。
SDシリーズの共通特長
アロン化成のSDシリーズには、以下の共通した特長があります。
① 軽量・施工性に優れる
塩ビ(ポリ塩化ビニル)製のため、コンクリート製マスに比べて大幅に軽量です。一人での運搬・設置が容易で、施工スピードの向上に貢献します。
② 耐食性・耐薬品性が高い
塩ビ素材は錆びず、一般的な排水に含まれる酸・アルカリにも高い耐性を持ちます。長期間にわたって安定した性能を発揮します。
③ 水密性に優れ、浸入水を防止
接合部の設計により、地下水や雨水の浸入を防ぎます。これにより、汚水が希釈されず、下水処理場への負荷低減にも貢献します。
④ プラスチック・マスマンホール協会規格適合
公共工事や民間工事の設計仕様に適合した規格品であるため、検査・確認申請においても安心して使用できます。
⑤ 豊富なサイズ・種類展開
管路口径・マス径・設置方向(右・左・兼用)など、多様な現場条件に対応できるラインナップが揃っています。
サイズ表示の読み方
SDシリーズのサイズ表示は「管路口径-マス径(立上り径)」という形式です。
例:SD 90L 100-150
- 100:流入・流出管の口径(φ100mm)
- 150:マス本体の内径(立上り径φ150mm)
サイズ選定の基本は「接続する排水管の口径に合った管路口径」と「必要な点検口サイズを満たすマス径」の組み合わせで決まります。
SD 90L(90度曲り)──方向転換に使う曲がり型マス
SD 90Lとは
SD 90Lは、排水の流れを90度方向転換させる「曲がり型」の小口径マスです。配管ルートが直角に折れる箇所(コーナー部)に設置します。「L」はエルボ(Elbow=曲がり)の頭文字に由来します。
右曲がり・左曲がり・左右兼用の3タイプが用意されており、現場の配管方向に合わせて選択します。勾配は製品サイズにより1.2/100〜3/100の範囲で設定されており、適切な自然流下を確保します。
SD 90L 100-150
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD 90L 100-150 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ150mm |
| 流れ方向 | 90度曲り(右・左・兼用) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
SD 90L 100-150は、最もよく使われるスタンダードサイズです。φ100mmの排水管(一般的な宅地排水の主管サイズ)の方向転換箇所に対応します。マス径φ150mmは宅地内の点検口として十分な大きさを確保しており、新築住宅・アパートなど幅広い用途に使われます。
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SD-N 90L 100-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD-N 90L 100-200 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 流れ方向 | 90度曲り(右・左・兼用) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
SD-N 90L 100-200は、管路口径はφ100mmのままで、マス径をφ200mmに拡大した「大口径マスタイプ」です。型番の「N」はNormal(標準管路径)のマスを大径化したシリーズを示します。
φ100mmの管路に対してφ200mmの広い立上り口を持つため、点検・清掃の作業性が大きく向上します。詰まりが発生しやすい箇所、維持管理を重視した設計が求められる箇所、または将来的に管路を増径する可能性がある箇所に採用されます。
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SD 90L 150-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD 90L 150-200 |
| 管路口径 | φ150mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 流れ方向 | 90度曲り(右・左・兼用) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
SD 90L 150-200は、φ150mmの大口径管路に対応した曲がりマスです。複数世帯からの排水を集約するマンション・集合住宅の本管ライン、または商業施設・工場など排水量の多い施設の配管で使用されます。
φ100mm管用の製品に比べて本体も大きくなりますが、それでもコンクリート製マスに比べれば大幅に軽量です。施工性を維持しながら大口径の排水に対応できる点が、このサイズの大きなメリットです。
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SD ST(ストレート)──直線通過・起点に使うストレート型マス
SD STとは
SD STは、排水の流れを直線的に通過させる「ストレート型」の小口径マスです。配管の起点(最も上流側)や、直管ルート上の中間点検口として設置します。「ST」はStraight(直線)の略です。
90Lや90Yのような方向転換・合流機能はありませんが、直線配管のメンテナンス性を確保するために欠かせない製品です。特に長い直線配管区間では、一定間隔でSD STを設けることで、将来の点検・清掃が容易になります。
SD ST 100-150
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD ST 100-150 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ150mm |
| 流れ方向 | ストレート(直線) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
宅地排水配管の起点として最も多く使われるサイズです。建物の排水出口に接続し、そこから下流側の配管ルートへ直線的につなぎます。シンプルな構造ゆえに施工しやすく、住宅・小規模施設の排水起点に広く採用されています。
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SD-N ST 100-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD-N ST 100-200 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 流れ方向 | ストレート(直線) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
SD-N 90Lと同じく、管路口径φ100mmでマス径をφ200mmに拡大したストレート型です。φ100mm管路の起点・中間点検口として、より広い点検口が必要な場合に選択します。高齢化社会における維持管理の省力化・作業性向上を重視した設計に対応します。
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SD ST 150-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD ST 150-200 |
| 管路口径 | φ150mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 流れ方向 | ストレート(直線) |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
| 規格 | プラスチック・マスマンホール協会規格対象品 |
φ150mm大口径配管の起点・直線点検口として使用するストレートマスです。集合住宅・商業施設など排水量の多い物件や、複数の排水系統が集約された本管ラインに設置します。
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SD 90Y(90度合流)──枝管を合流させる合流型マス
SD 90Yとは
SD 90Yは、枝管からの排水を本管に90度の角度で合流させる「合流型」の小口径マスです。複数の排水ラインが合流する箇所に設置します。「Y」はY字型合流(Y字管)のイメージに由来します。
右合流・左合流のタイプが用意されており、枝管が本管のどちら側から入るかで選択します。トイレ・洗面・キッチン・浴室など、建物内の複数の排水系統を1本の本管に集約する際に不可欠な製品です。
SD 90Y 100-150
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD 90Y 100-150 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ150mm |
| 合流角度 | 90度 |
| 枝管口径 | φ100mm |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
SD 90Y 100-150は、宅地排水配管で最もよく使われる合流マスです。φ100mm本管にφ100mm枝管が90度で合流する標準的な構成で、洗面・キッチン・洗濯など各所からの排水を集約する箇所に使います。
勾配は**1.5/100(1.5%)**が標準で、スムーズな自然流下を確保します。合流部の構造により、流れの乱れ・逆流・詰まりが起きにくい設計になっています。
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SD-N 90Y 100-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD-N 90Y 100-200 |
| 管路口径 | φ100mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 合流角度 | 90度 |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
管路口径はφ100mmのまま、マス径をφ200mmに拡大した合流マスです。合流点は排水の乱れが生じやすく詰まりのリスクも高い箇所のため、広い立上り口を持つSD-Nシリーズを採用することで点検・清掃の作業性を大幅に改善できます。
施工物件の長期維持管理を考慮した設計や、管理組合・オーナーへのアフターサービスを重視する場合に特に推奨されます。
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SD 90Y 150-200
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | SD 90Y 150-200 |
| 管路口径 | φ150mm |
| マス径(立上り径) | φ200mm |
| 合流角度 | 90度 |
| 材質 | 硬質ポリ塩化ビニル(塩ビ) |
φ150mmの大口径本管にφ150mm枝管が90度合流するタイプです。集合住宅・商業施設の排水本管合流箇所など、大流量が合わさる箇所で使用します。φ200mmのマス径は維持管理に十分な作業スペースを確保します。
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型番の選び方まとめ──どれを選ぶべきか?
設置場所別の選び方
| 設置箇所 | おすすめ型番 |
|---|---|
| 配管の起点・直線通過 | SD ST(ストレート) |
| 配管の方向転換(直角) | SD 90L(90度曲り) |
| 枝管の合流箇所 | SD 90Y(90度合流) |
サイズ選定の目安
| 使用シーン | 管路口径 | マス径 | おすすめ型番例 |
|---|---|---|---|
| 一般住宅・排水管φ100mm・標準点検口 | φ100mm | φ150mm | SD 90L/ST/90Y 100-150 |
| φ100mm管路で広い点検口が必要 | φ100mm | φ200mm | SD-N 90L/ST/90Y 100-200 |
| 大口径管路(集合住宅・施設) | φ150mm | φ200mm | SD 90L/ST/90Y 150-200 |
右・左・兼用の選び方
SD 90L・SD 90Yは設置方向(右・左)に注意が必要です。
- 右型:管路の進行方向に対して右側から曲がる・合流する
- 左型:管路の進行方向に対して左側から曲がる・合流する
- 兼用型:右・左どちらにも対応(サイズによって設定あり)
現場で方向を間違えると取り付けができなくなるため、配管図や現場確認を徹底したうえで発注してください。
よくある質問
Q. SD 90LとSD-N 90Lの違いは何ですか?
A. 管路口径は同じφ100mmですが、マス径(立上り径)が異なります。SD 90L 100-150はマス径φ150mm、SD-N 90L 100-200はマス径φ200mmです。維持管理のしやすさを優先する場合はSD-Nシリーズを選ぶと良いでしょう。
Q. 勾配はどのくらい確保すればよいですか?
A. 一般的な宅地排水配管では**1/100〜3/100(1〜3%)**の勾配が必要です。SDシリーズは製品ごとに勾配が設定されており、100-150サイズでは2/100前後が標準です。施工前に設計図書の仕様を確認してください。
Q. コンクリートマスと塩ビマス(SDシリーズ)、どちらが良いですか?
A. 近年の新築工事では、施工性・コスト・耐食性の面から**塩ビマス(SDシリーズ)**が主流です。コンクリートマスは重量が大きく施工に手間がかかる一方、塩ビマスは軽量で短時間施工が可能です。ただし、既存配管の改修では周囲の構造物に合わせた選定が必要なケースもあります。
Q. 屋外・埋設での使用は問題ありませんか?
A. SDシリーズは宅地内の埋設配管に対応して設計されています。ただし、設計時には土被り・荷重条件を確認し、必要に応じて蓋の荷重クラスにも注意してください。
購入リンクまとめ
SD 90L(90度曲り)
SD ST(ストレート)
SD 90Y(90度合流)
まとめ
アロン化成SDシリーズの小口径マスは、塩ビ製品ならではの軽量・耐食・施工性の高さと、プラスチック・マスマンホール協会規格への適合という信頼性を兼ね備えた、現場の定番製品です。
- 方向転換には SD 90L
- 直線通過・起点には SD ST
- 枝管合流には SD 90Y
この3種類の用途区分と、100-150・100-200(SD-N)・150-200のサイズ展開を理解すれば、現場のどんな条件にも対応できます。右・左の方向確認を忘れずに、ぜひ現場に合った型番を選んでください。
免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。製品仕様・価格・在庫は変更となる場合があります。最新情報はアロン化成公式サイトおよび各販売店にてご確認ください。
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