下水道の取付管を本管につなぐ支管は、長らく番線を巻いて固定するのが当たり前でした。ところがその番線巻きのために本管の全周を掘り返す必要があり、1箇所あたりの手間と工期がふくらみます。さらに補修現場では、既設を撤去した後の孔径がバラバラで「この孔をそのまま再利用できるのか」という不安も付きまといます。アロン化成のHAM-QEは、この番線を不要にしたヒューム管・陶管用のメカニカル支管です。本記事ではHAM-QEの構造を押さえたうえで、受口の違うHAM-QE-R・HAM-QE-F・HAM-QE-Kをどう選び分けるかまで整理します。
- 番線巻きのための全周掘削
- 既設撤去後の孔径が不均一
- 本管の管厚にバラつき
- 内面更生による管厚の変化
- 施工箇所が多く長引く工期
撤去した孔が大きく歪んでしまって。これは新しく削孔し直すしかないですよね。
そこがHAM-QEの狙いどころです。大型固定ツメが不均一な孔をまたいでロックするので、既設の孔を活かしたまま据え付けられますよ。
結論から言えば、HAM-QEの価値は番線をなくして掘削量と工期を同時に削った点にあります。埼玉県所沢市の約200箇所に及ぶ布設替え工事では、1箇所あたりの施工時間短縮が工期短縮に直結したと報告されています。そして3タイプの選び分けは、受口にどれだけの可動量を求めるかという一点で決まります。
HAM-QEの基礎知識
HAM-QEはアロン化成が供給する「ヒューム管・陶管用QE支管」の品番です。QEはクイックイージーの頭文字で、据え付けの速さと簡便さをそのまま名前に込めた製品シリーズになります。正式名称は受口の種類によって「回転固定式90°ゴム輪受口支管」などと呼び分けられます。まずは支管という部材が下水道管路のどこで何をしているのか、そして従来工法の何が問題だったのかを押さえておきましょう。
支管が担う役割
公道の下に埋まっている下水道の本管から、各宅地へ向けて分岐しているのが取付管です。この取付管を本管に接続するための継手が支管です。本管の管壁に孔をあけ、そこに支管を据え付けて取付管を差し込む、という構成になります。
支管に求められる性能は2つあります。ひとつは本管との接続部から漏水や土砂の侵入が起きないこと。もうひとつは取付管側の角度や位置のズレを吸収できることです。管路は地中にあるため、設計どおりの位置に取付管が来るとは限りません。
この「ズレの吸収量」が、後述するHAM-QEの3タイプを分ける基準になります。受口の可動量が大きければ現場での融通が利き、小さければコストが抑えられるという関係です。
ヒューム管と陶管の特性
HAM-QEが対象とする本管は、ヒューム管と陶管です。ヒューム管は遠心力を使って成形した鉄筋コンクリート管で、下水道の本管として広く使われてきました。陶管は陶器を焼成した管で、耐薬品性に優れる一方、古い管路に多く残っています。
どちらも塩ビ管と違って管厚が厚く、しかも管厚が一定とは限りません。製造年代や口径によってばらつきがあり、さらに内面更生工法で内側に新しい層が形成されていれば、その分だけ実管厚が増えます。支管側はこの変動に追従できなければ固定できません。
| 本管の種類 | 材質 | 管路での位置づけ |
|---|---|---|
| ヒューム管 | 遠心力鉄筋コンクリート | 下水道本管の主力 |
| 陶管 | 焼成した陶器 | 古い管路に多く残存 |
従来の番線工法の課題
従来の支管取り付けは、鉄線である番線を本管に巻き付けて支管を締結する工法が一般的でした。確実な固定方法ではありますが、番線を本管の裏側まで回す必要があるため、本管の全周を露出させる掘削が避けられません。
アロン化成も「番線巻きのための掘削は手間であり、現場の復旧に時間を要します」と課題を明示しています。掘削量が増えれば、残土処理も埋め戻しも転圧も増えます。1箇所ならまだしも、数百箇所の布設替えとなれば工期への影響は無視できません。
- 本管全周の掘削作業
- 残土の処理と搬出
- 埋め戻しと転圧の手間
- 路面復旧までの日数
- 交通規制の長期化
HAM-QEはここに狙いを定めた製品です。番線レスで固定できるため、本管の裏側まで掘る必要がなくなります。メーカーは「ヒューム管・陶管用メカニカル支管の決定版」と位置づけています。
HAM-QEが解決する現場課題
HAM-QEが想定しているのは新設工事よりも補修・布設替えの現場です。「掘削量を減らしたい」「早期復旧させたい」という要望に応えるのが開発の出発点になっています。補修現場には新設にはない固有の難しさがあり、そこを狙って設計された形跡が随所に見られます。ここでは現場課題を3つに分けて、HAM-QEがそれぞれにどう効くのかを見ていきます。
掘削量と復旧時間の削減
番線が不要になれば、掘削は支管を据え付けられる範囲で足ります。本管の下側まで人力で掘り進める作業が省けるため、掘削・残土処理・埋め戻しのすべてが軽くなります。
都市部の下水道工事は交通規制を伴うことが多く、掘削範囲の縮小は規制期間の短縮にも直結します。所沢市の事例では「既設の孔を活用することで施工時間、掘削量などを削減できた」と報告されています。
不均一な孔への対応力
布設替えでは既設の取付管を撤去しますが、その際に本管の孔が欠けたり広がったりします。孔径が設計値どおりに残ることはまずなく、現場ごとに大きさも形も違います。従来品ではこの孔を使えず、別の位置に削孔し直す判断になりがちでした。
HAM-QEは大型の固定ツメを採用し、補修後の大きく不均一な孔でもロックできる構造になっています。メーカーの説明では「大型固定ツメの採用により補修後の孔(大型・不均一)でもしっかりロック」とされています。
所沢市の課題にも「既設の取付管撤去後の孔径がバラバラで、再利用できるか不安」という記述があります。既設の孔を再利用できるかどうかは、削孔1回分の手間と時間に直結するため、現場にとっては大きな分かれ目です。
管厚のバラつきへの追従
もうひとつの難所が管厚です。ヒューム管の管厚は口径や規格で変わり、内面更生が入っていればさらに厚くなります。固定ツメを引っ掛ける位置が管厚で変わるため、締結機構に幅がなければ対応できません。
HAM-QEはワイヤーの巻き取り構造を採用し、「本管の管厚バラつき・内面更生による管厚変化」にも対応できるとされています。メーカー資料では対応管厚の範囲が最小23mmから最大63mmと示されており、サイズによって幅が異なります。
| 現場課題 | HAM-QEの対応 |
|---|---|
| 全周掘削の手間 | 番線レス構造で掘削範囲を縮小 |
| 孔が大型・不均一 | 大型固定ツメでロック |
| 管厚のバラつき | ワイヤー巻き取り構造で追従 |
| 内面更生で管厚が増加 | 同じ巻き取り機構で吸収 |
| 取付管の角度ズレ | 受口タイプで可動量を選択 |
ワイヤー連結型大型固定ツメ
HAM-QEの中核にあるのが、新構造として打ち出されている「ワイヤー連結型大型固定ツメ」です。名称だけでは動きが想像しにくいところですが、仕組みは「本管の孔から内側へツメを送り込み、ワイヤーで引き上げて管壁を内側から掴む」というものです。番線のように外周を回らずに固定できる理屈がここにあります。構成要素を分けて見ていきましょう。
大型固定ツメの役割
固定ツメは、本管の孔の縁を内側から引っ掛けて支管を保持する部品です。ツメが小さいと、孔が広がっている場合に引っ掛かる面を確保できません。HAM-QEはこのツメを大型化することで、欠けや拡大のある孔でも支持点を取れるようにしています。
施工時はツメを斜めに差し込んで孔を通し、内側で姿勢を変えて引き上げます。孔径より大きなツメを通すための動作で、取扱説明書では斜め差し込みの手順が示されています。
ワイヤー巻き取り構造
固定ツメとギヤリングはワイヤーで連結されています。ギヤリングを反時計回りに回すとワイヤーが引き出され、時計回りに回すとツメが引き上げられる仕組みです。巻き取り量で締結位置を調整できるため、管厚が違っても同じ製品で対応できます。
番線が「外から巻いて締める」のに対し、HAM-QEは「内から引いて締める」。この違いが掘削範囲の差になって現れます。締結の作業がすべて管の上側から完結するのが、工法としての最大の転換点です。
回転固定式と接合剤圧着
HAM-QEの正式名称には「回転固定式90°」という語が入ります。ハンドルやギヤリングの回転操作で固定が完結する方式を指しており、最終圧着は圧着ハンドルを1〜1.25回転させて完了します。
止水は機械的な締結だけに頼らず、接合剤の圧着で確保します。メーカーは「接合剤圧着により安心・確実」と説明しており、使用する接合剤は手練りタイプの樹脂系を指定しています。接合剤は別売なので、手配漏れに注意が必要です。
- 機械的な保持はワイヤーと固定ツメ
- 本管との水密は樹脂系接合剤の圧着
- 取付管との接続は受口のゴム輪
- 接合剤は手練りタイプを別途手配
受口3タイプの違い
ここが品番選びの本題です。HAM-QEにはHAM-QE-R、HAM-QE-F、HAM-QE-Kの3タイプがあり、違いは本管側ではなく取付管をくわえる受口の側にあります。本管への固定機構は共通ですから、3タイプの比較軸は「受口がどれだけ動けるか」の一点に絞られます。コストと可動量のトレードオフとして理解すると迷いません。
HAM-QE-Rはゴム輪受口
HAM-QE-Rの正式名称は「回転固定式90°ゴム輪受口支管」です。メーカーはゴム輪受口を「オーソドックスな取付管型のゴム輪受口タイプ」と説明しており、±5°の振れ角度を持ちます。施工時の角度微調整ができる範囲です。
3タイプのなかで最もコストパフォーマンスに優れているとされ、標準仕様として選ばれる位置づけになります。取付管の角度が設計どおりに収まる見込みがあり、地盤変動のリスクも特に高くない現場であれば、R型で十分です。
注意点は、ラインナップの上限が他の2タイプより小さいことです。資料上はHAM-QE-Rが本管呼び径600までの構成となっており、大口径の本管では選べません。
HAM-QE-Fは自在受口
HAM-QE-Fは「回転固定式90°自在受口支管」で、受口部分に±15°の振れ角度を持ちます。R型の±5°から3倍に拡大しており、メーカーは「施工性の自由度がアップします」と説明しています。
効いてくるのは、既設の取付管ルートが設計と食い違っている補修現場です。掘ってみたら取付管が思った角度で来ていない、という場面でも±15°の範囲なら受口側で吸収できます。取付管を切り回す手間を省ける可能性があります。
ただしF型が吸収するのは据え付け時の角度です。据え付け後の地盤変動に追従する性能ではありません。そこを担うのが次のK型です。
HAM-QE-Kは可とう受口
HAM-QE-Kは「回転固定式90°可とう受口支管」です。±15°の可とう性に加えて±30mmの伸縮性を持ち、メーカーは「地盤変動に柔軟に追従するタイプ」と位置づけています。
角度だけでなく管軸方向の伸び縮みを吸収できる点がF型との決定的な差です。軟弱地盤や不同沈下が懸念される区間、液状化のリスクが想定される箇所では、この伸縮代が支管の破損や漏水を防ぐ保険になります。
可とう受口は部位ごとに材質が異なる複合構造で、硬質塩ビの樹脂部、合成ゴムの可とう部、ステンレスバンドなどを組み合わせた構成が公表されています。詳細な材質表はメーカーカタログで確認してください。
3タイプの比較と選定基準
可動量とコストの関係を一覧にすると、選定の筋道がはっきりします。
| 品番 | 受口タイプ | 振れ角度 | 可とう性 | 伸縮性 | 性格 |
|---|---|---|---|---|---|
| HAM-QE-R | ゴム輪受口 | ±5° | — | — | コスト重視の標準品 |
| HAM-QE-F | 自在受口 | ±15° | — | — | 据え付け角度の自由度 |
| HAM-QE-K | 可とう受口 | — | ±15° | ±30mm | 地盤変動への追従 |
- 角度ズレなし・コスト優先 → R型
- 既設ルートが設計と相違 → F型
- 軟弱地盤・不同沈下の懸念 → K型
- 本管が大口径 → F型またはK型
品番とサイズの読み方
HAM-QEの品番は、受口タイプと2つの呼び径を組み合わせた構成です。法則を押さえておけば、カタログの膨大なサイズ表から必要な品番を一発で引けます。あわせてせん孔径と対応管厚、そして取付け孔の限度寸法も確認しておきましょう。これらは発注前ではなく、現場調査の段階で押さえておくべき数値です。
品番体系の構成
品番は「HAM-QE-受口記号 本管呼び径-支管呼び径」の形をとります。たとえばHAM-QE-F 300-150なら、自在受口タイプで本管の呼び径300、支管の呼び径150という意味になります。
| 要素 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| HAM | ヒューム管・陶管用 | HAM-QE |
| QE | クイックイージー | QE支管シリーズ |
| R | ゴム輪受口 | HAM-QE-R |
| F | 自在受口 | HAM-QE-F |
| K | 可とう受口 | HAM-QE-K |
| 前の数字 | 本管の呼び径 | 300-150の300 |
| 後の数字 | 支管の呼び径 | 300-150の150 |
呼び径のラインナップ
支管の呼び径は100と150が中心です。本管側はR型が200から600まで、F型とK型は200から1350までの幅広い構成が公表されています。大口径の本管を扱う場合は、R型が選べない点を念頭に置いてください。
| 品番 | 本管呼び径の範囲 | 支管呼び径 |
|---|---|---|
| HAM-QE-R | 200〜600 | 100・150 |
| HAM-QE-F | 200〜1350 | 100・150 |
| HAM-QE-K | 200〜1350 | 100・150 |
せん孔径と対応管厚
新設で削孔する場合、φ170に対応するモデルが用意されています。対応管厚は最小23mmから最大63mmの範囲で、サイズごとに上下限が異なります。既設孔を再利用する場合は、孔の大きさが固定ツメの支持範囲に収まるかが判断材料です。
もうひとつ重要な制限値が、取付け孔の限度です。管軸方向250mmが上限とされており、既設撤去後の孔がこれを超えて広がっている場合は別の対処が必要になります。仮合わせの段階で必ず測っておくべき寸法です。
個別サイズの正確な寸法は、メーカーが公開している納入製品図とDXFデータで確認できます。寸法表にはd1・d2・ℓ・D・R・Z・t・B・A・A1・W・Lといった項目が並び、本管の曲率に合わせた形状が規定されています。設計段階ではこれらの図面を取り寄せるのが確実です。
施工手順と養生のポイント
HAM-QEの据え付けは、メーカー資料で8つの工程に整理されています。工具は製品に組み込まれたギヤリングと圧着ハンドルで足り、特殊な機械は不要です。ただし接合剤の扱いと養生時間だけは省略できません。ここを急ぐと止水性能に直接響きます。全体の流れを把握してから現場に入りましょう。
8ステップの作業手順
仮合わせから最終圧着までの流れは次のとおりです。各工程の詳細は製品同梱の取扱説明書に従ってください。
| 工程 | 作業内容 | 操作のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 仮合わせ | 標線を記入し孔サイズ250mm以内を確認 |
| 2 | ワイヤー引き出し | ギヤリングを反時計回りに回転 |
| 3 | 接合剤塗布 | 支管の接合面に盛り付ける |
| 4 | 固定ツメ差し込み・仮圧着 | 斜めに差し込んで孔を通す |
| 5 | 固定ツメ引き上げ | ギヤリングを時計回りに回転 |
| 6 | ロック解除 | ロックピンを外向きにスライド |
| 7 | ギヤリングのスライド | 位置を移して再ロック |
| 8 | 最終圧着 | 圧着ハンドルを1〜1.25回転 |
接合剤の選定と塗布
指定されているのは手練りタイプの樹脂系接合剤です。製品には同梱されないため、別途手配が必要です。種類の異なる接合剤を使うと所定の止水性能が得られないおそれがあるため、メーカー指定品を確認してから発注してください。
塗布は支管の接合面に盛り付ける形で行います。圧着によって接合剤が押し広がり、本管の曲面と支管の隙間を埋める設計です。塗布量が足りないと隙間が残り、多すぎればはみ出して無駄になります。
養生時間の目安
養生時間は標準で夏季15分、冬季30分以上とされています。気温が低い時期は樹脂の硬化が遅れるため、冬季の時間を短縮してはいけません。
- 夏季 15分
- 冬季 30分以上
- 低温時は時間に余裕をとる
- 養生前の埋め戻しは不可
施工時の注意事項
最も重要な確認項目は、工程1の仮合わせで測る孔のサイズです。管軸方向250mmという限度を超えていれば、その孔は使えません。据え付けを始めてから気づくと手戻りになるため、掘削後すぐに測るのが段取りとして正解です。
また、本管の内面更生を後から行う予定がある場合は、支管の内側への突出量を確認しておく必要があります。所沢市の事例では、管更生の前後比較でHAM-QEの可動ツメ部分が更生作業の邪魔にならないことが確認されています。
所沢市での導入事例
HAM-QEの効果を具体的な数字で示しているのが、埼玉県所沢市上下水道局 下水道維持課の導入事例です。約200箇所という大規模な布設替え工事で採用され、工期短縮と掘削量削減の両面で成果が報告されています。カタログスペックではなく実際の工事での評価ですから、検討材料としての価値は高いところです。
約200箇所の布設替え工事
工事内容は、既設の雨水取付管を約200箇所にわたって布設替えするものです。雨水管の取付管をHAM-QEで更新したうえで、本管側は管更生を行うという二段構えの計画でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発注者 | 埼玉県所沢市上下水道局 下水道維持課 |
| 工事内容 | 既設雨水取付管の布設替え(約200箇所) |
| 採用製品 | ヒューム管・陶管用QE支管(HAM-QE) |
| 本管の処置 | 取付管更新後に管更生を実施 |
課題と工期短縮の成果
事前の課題として挙げられていたのは2点です。施工箇所が多く工期が長くなること、そして既設の取付管を撤去した後の孔径がバラバラで再利用できるか不安だったことでした。
導入後のコメントでは「HAM-QEを用いることで、一箇所あたりの施工時間を短縮し、工期短縮に繋がった」「既設の孔を活用することで施工時間、掘削量などを削減できた」と報告されています。1箇所あたりの短縮が200箇所分積み上がるという構造が、大規模工事での採用理由になっていると読み取れます。
管更生との両立
支管を取り付けた後に本管を更生する工事では、支管の部材が管の内側に出っ張っていると更生の障害になります。この事例では管更生の前後を比較し、HAM-QEの可動ツメ部分が作業の邪魔にならないことが確認されました。
ストックマネジメントの流れで取付管更新と本管更生をセットで計画する自治体は増えています。更生工法と組み合わせられるかどうかは、支管選定の実務的な判断軸になります。
HAM-QEのよくある質問
最後に、HAM-QEの検討時に出てきやすい疑問をまとめます。適用できる本管の種類、既設孔の再利用条件、受口タイプの選び分けなど、カタログの数値だけでは判断しにくいところを中心に取り上げました。発注前の確認リストとして使ってください。
塩ビ管の本管にも使えるか
HAM-QEはヒューム管・陶管用の製品です。硬質塩化ビニル管が本管の場合は、VU用・VP用に対応した塩ビ管用のQE支管が別に用意されています。QE支管シリーズにはリブ付管用もあり、本管の種類ごとに製品が分かれる構成です。本管の材質を確認してから品番を選んでください。
既設の孔はどこまで再利用できるか
判断基準は取付け孔の限度寸法です。管軸方向250mm以内であれば大型固定ツメで対応できる設計になっています。孔が大型で不均一でもロックできるのがHAM-QEの売りですが、限度を超えた孔は対象外です。仮合わせの工程で必ず実測してください。
内面更生済みの管にも取り付けられるか
対応できます。ワイヤー巻き取り構造により、内面更生による管厚変化にも追従する設計とされています。対応管厚は最小23mmから最大63mmの範囲で、サイズごとに上下限が異なるため、更生後の実管厚がその範囲に入るかを確認する流れになります。
R型とF型はどちらを選ぶべきか
取付管の角度が設計どおり収まる見込みならR型で足ります。±5°の微調整幅があり、コストパフォーマンスも最良です。既設ルートが設計と食い違う可能性がある補修現場では、±15°まで吸収できるF型が手戻りを防ぎます。本管が呼び径600を超える場合はF型かK型しか選べません。
K型を選ぶべき条件
K型の持ち味は据え付け後の追従性です。±15°の可とう性と±30mmの伸縮性があり、地盤変動に柔軟に追従します。軟弱地盤や不同沈下が懸念される区間、液状化リスクが想定される箇所では、この伸縮代が漏水や破損を防ぐ役割を果たします。耐震性を考慮する路線では第一候補になります。
接合剤は同梱されるか
同梱されません。手練りタイプの樹脂系接合剤を別途手配する必要があります。HAM-QEは機械的な締結と接合剤の圧着を組み合わせて止水する設計のため、接合剤がなければ施工できません。現場に入る前の手配漏れが起きやすい部材です。
まとめ
アロン化成のHAM-QEは、支管の固定から番線をなくしたヒューム管・陶管用のメカニカル支管です。ワイヤー連結型の大型固定ツメによって、補修後の大きく不均一な孔や、内面更生で変わった管厚にも対応します。掘削量と復旧時間を削れる点が、補修・布設替えの現場で評価されている理由です。
- QEはクイックイージーの略
- 番線レスで全周掘削が不要
- R型はゴム輪受口で±5°
- F型は自在受口で±15°
- K型は可とう受口で±15°+±30mm
- 対応管厚は23〜63mmの範囲
- 取付け孔は管軸方向250mmが限度
- 樹脂系接合剤は別売で手配が必要
品番選定で迷ったときは、受口に求める可動量から逆算してください。コスト優先ならR型、据え付け角度の自由度ならF型、地盤変動への追従ならK型。この3択に落とし込めば判断は早まります。あわせて現場調査の段階で、既設孔の管軸方向寸法と本管の実管厚を測っておきましょう。接合剤の手配も忘れずに段取りしておくと、現場で止まることがありません。
管材ナビでは、下水道の管路資材を品番レベルで掘り下げて解説しています。アロン化成の製品では雨水マスAMシリーズやアロンマス蓋ICO-Hシリーズも取り上げました。地盤変動への追従という観点では排水可とう継手・MD継手の記事も参考になります。
※本記事は株式会社アロン化成の公開資料(総合災害ソリューションサイトの製品ページおよび導入事例、環境資材サイトの製品仕様表)をもとに整理したものです。受口タイプの振れ角度・可とう性・伸縮性の数値は、同社QE支管シリーズの受口タイプ解説に基づきます。材質の詳細および個別サイズの寸法値は公開仕様表に記載がない項目があるため、設計・発注前には必ずメーカーの最新カタログ、納入製品図、製品同梱の取扱説明書で確認してください。

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